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fk side
酔った勢いじゃないと言えなかった。
俺は告白されたい側の人間だからさ。
誰からだって愛されるけど、自己犠牲だって苦だと思わない奴だから、俺が守りたいってずっと思ってた。
頑張って紡いだ気持ちはさ、届いたの？
fk「さくま！」
sk「何、どーしたの。佐久間さん喉乾いちった」
fk「嘘ついて逃げんなよ」
sk「本当だもん。すぐ帰ってくるから待っててよ」
泳いだ目線。
わかりやすい嘘に小さくため息をついて、佐久間の腕を掴んだ。
sk「…何、相談でもあんの？」
fk「や、相談っつーか、」
扉の向こうから聞こえた足音。
聞きなれた声。
耳にその音が届いて、言葉が詰まる。
今ここで佐久間を追い詰めるなんてできない。
sk「…昨日のこと、覚えてんの」
fk「覚えてる、って言ったら？」
sk「……俺は覚えてないって言うかな」
fk「は？」
sk「酔った勢いってすごいよね、思ってもないこと言えちゃうんだもん」
fk「…酔った勢いなんかじゃないけど。」
がちゃり、と音を立ててドアが開いた。
どうしたん？なんて、この空気を察した康二と阿部が気まずそうにこちらを見る。
…ああもう。
fk「なんでもねーよ、入れよ」
sk「あべちゃん！こーじ！おはよ！」
kj「お、おはよう、？」
ab「……ふっか」
fk「はいはいわかってるっつの。」
なぜこうも阿部は察しがいいのか。
佐久間の頭を撫でながら俺を少し睨みつける彼のシンメに小さくため息をついた。
けどね。俺は柄にもなく焦ってんの。
告白はされたい派、なんて呑気なこと言ってられないくらいには。
sk『…ごめんね、俺、好きな人いるから』
つい先日、告白をしてきた女の子に佐久間が出した答え。
佐久間が俺じゃない誰かのものになるのが嫌だと、本気で思った。
fk「佐久間」
sk「ぅわ！なんだよふっか」
fk「終わったら俺ん家ね」
ぐん、と腕を引っ張って耳元でそう言えば、真っ赤に染まった頬。
…さっきまで強気だったくせにね。
fk「…逃す気なんてさらさらない」
お前がどんなに聞きたくないって言ったって、もう止まる気はない。
お前は優しいから、本気で拒絶なんてそうそうできないだろ？
幸せにしてみせるから、どうか。
俺だけの佐久間になって。
Fin
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年8月9日 15時
