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dt side







翔太と俺は幼馴染だ。



大企業の跡取り息子として生まれた翔太と、代々続く農家の長男として生まれた俺。
体の弱かった彼は、東京から逃げるように田舎である俺の地元へと引っ越してきた。

何も知らない俺は、3歳から18歳まで、1日のほとんどを彼と共に過ごしていた。






家は継がない、東京の学校に行く。と両親に告げて家を飛び出した18歳になったばかりの俺。

翔太とは進学の話を一言もしたことがなかったため、
特に伝えることもなく1人勝手にあの街を離れた。









それから数年。
無事調理師免許を取得した俺は、ある有名レストランで修行を積んだ後、独立して小さなお店を開いた。



そこで、見慣れぬスーツ姿の翔太と再会をした。




nb『…りょーたじゃん!!』
dt『え、あ、翔太!?』




変わらないその姿に、つい頬が緩んで。

感動の再会でもしたかのようなほど嬉しそうな彼と、会えなかった時間を埋めるように何時間も話をした。






そこからは本当に早かった。
再会から1年も経たずして恋人関係になって、幸せな日々を過ごしていた、はずだった。
















dt『…え、?』
nb『ごめん。大切にしないといけない人がいる』
dt『……そっ、か、』



この関係にゴールがあるなんて思ってなかったけど、ただなんとなくこれからも一緒にいるんだと思ってた。




別れを告げられたのは、翔太の27歳の誕生日だった。






“大切にしないといけない人がいる”
その相手が、自分ではないことは翔太の顔を見れば簡単にわかった。


俺のこと嫌いになったわけじゃないと思う。
けど、昨日まで好きだと、愛してると何度も伝えてくれた翔太が突然別れを選択したならば、きっと何か事情があるのだろうと思った。





けど俺が強く望めば、翔太は家も地位も何もかも捨ててしまいそうで。




だから何も言わず、受け入れた。

それが正解だと信じるしかなかった。









なんて、こんなのは言い訳で、ただ翔太のこれからを背負う覚悟が足りなかっただけだ。

・→←名脇役には、なりたくない dtnb



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作者名: | 作成日時:2023年8月9日 15時

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