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ru side
kj「目黒か、目黒やろ」
ru「…」
kj「あいつホンマ…」
笑顔は消え去り、怒りの含まれた視線に少しだけ怯む。
だけど、逃げることは許されなくて。
謝ることもしたくない。
だって、先に約束を破ったのは君でしょう？
ru「…村上真都ラウール」
kj「は？」
ru「ほら、覚えてないんじゃん」
kj「なんの話や」
ru「康二くんにとって、俺は所詮、“忘れてもいい存在”だったんでしょ」
思い出して。
思い出さないで。
そんな思いが混じって、自分でも何を言っているのかあまり理解できなくて。
kj「……知ってるん、俺のこと」
しってる。知ってるよ。
あなたが思ってる以上に、俺はよく覚えてる。
ru「…思い出さなくていいよ。忘れていい。今のはわがまま。康二くんは何も悪くないもんね」
彼が思い出したところで、俺の恋は叶わない。
男同士ってだけじゃない。
今は生徒と教師だ。
ru「ごめんなさい、酷いこと言って」
kj「待って、教えてや、俺と君の関係って何？」
ここにはいてはいけない。
そう感じて、1人荷物を抱えたまま歩き出す。
そしたら、康二くんが追いかけてくるから。
ru「…約束、したんです」
kj「約束？」
ru「7年前、“また会いにくる”って」
俺が会いたかったのは、先生じゃない。
向井康二でもない。
いつだって俺の兄的存在だった、ちょっと甘えたで、泣き虫で、みんなから好かれる“康二くん”だ。
もう彼に会うことができないのであれば、目の前の向井康二に縋ることは無意味に値する。
ru「…さよなら、康二くん」
kj「……むらかみ、」
さようなら、康二くん。
はじめまして、向井康二先生。
ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本飲ませます。
なので、どうか俺をあなたの記憶から消してください。
そして、ゆびきりげんまんをしたことを忘れるために、
俺の記憶も消してください。
Fin.
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年8月9日 15時
