貴方と私の幸福論 dtsk ページ3
sk side
人は誰だって、平凡な日常を望んでる。
雨上がりの綺麗な虹を見た。
この小さな幸せを、君に伝えようと思った日のことだった。
sk「…なんで、」
「SnowManを守りたいなら、2人の関係は認められない」
ガツンと頭を殴られた、ような。
昨日まで夢のような時間を過ごせていたはずなのに、記事一つで俺と大切な人の2人の世界は壊されてしまう、らしい。
“SnowMan佐久間大介&宮舘涼太、通い愛”
“SnowMan、まさかの熱愛！？”
“ジャニーズ初、メンバー内恋愛”
発売前の雑誌。
俺と涼太が隣り合って歩いている姿を写真に撮られてしまった。
それだけならまだよかったものの、何日も張り込まれてたらしく、何度も足繁く涼太の家に通う俺の姿を撮られてしまった。
dt「佐久間とは何もありません」
sk「…りょう、た」
「それが事実だとしても、この記事は出るから」
ぐさり。
涼太の言葉が痛い。
その場しのぎの言葉だってわかってるけど、そんな風に言ってほしくなかった。
俺と涼太はデビュー前に付き合い始めた。
ずっと遠い存在だった彼と近づいて、自分の感情が周りと違うことに気づいて、苦しんで。
でもそれは涼太も同じで。
みんなの協力を得て、何とか紡いだ「好き」と言う言葉に、涼太は見たこともないような優しい笑顔で受け止めて、同じ言葉を返してくれた。
そんな彼との日常は、この上ないほど楽しくて。
みんなも応援してくれる。
見守ってくれる。
だから、かな。
この日常が変わるわけないって、勝手に思い込んでた。
この関係が普通だって、反対されるなんて思わなかった。
sk「涼太！」
dt「佐久間、俺たち会わない方がいい」
sk「な、んで、」
dt「…ごめん、分かって」
マネージャーの車に乗り込んだ涼太。
俺は違う車に乗り込まなきゃいけなくて。
それでも、追いかけたかった。
まってって、俺ら、何も変わんないよね？って。
だけど、一度拒否されてもなお再びその背中を追う勇気を、俺は持ち合わせていなかった。
sk「…あっけない」
1人暗い寝室で脱力し、もう終わりだと悟った。
涼太も俺も、大切なSnowManという居場所を無くしてまで幸せになりたいとは思わない。
だって、俺たちよく似てるから。
涼太が考えてることなんて手に取るようにわかるんだよ。
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年8月9日 15時
