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ru side
mm「康二くんに絡んだからって不機嫌になんなよ」
ru「うるさい。嫌いなんだもん、向井先生」
mm「意地っ張り」
ru「もー！めめも知ってるじゃん！」
mm「不可抗力だろ。康二くんだって望んでああなったわけじゃない。怒ったって仕方ないだろ」
ぐしゃり、と俺の頭を撫でた。
…なんだよ、わかってるよ。
昔、康二くんは隣に住んでいた。
俺は5歳上の康二くんが大好きで、離れたくなくて。
いつも康二くんを追いかけていたのをよく覚えてる。
そんな日常がガラリと変わったのは、10歳の頃。
康二くんは高校進学のタイミングで関西へと引っ越すことになって。
それを伝えられたのは、いなくなる1週間前だった。
嫌だと、行かないでと泣きわめき、家族すらも手がつけられなかった俺を康二くんは慰めるように指切りをしてくれた。
“いつか必ず会いに行く”
そんな、なんの確証もない約束でも、康二くんなら叶えてくれると信じて疑わなかった。
康二くんがいない世界は、ほんのちっぽけにしか見えなかった。
学校だって楽しくない。
帰っても康二くんはいない。
大好きな彼は、自分の初恋だったのだと気がついた。
再会を果たしたのは、あの日から7年がたった今で。
新任としてうちの高校にやってきた彼は、英語の教師になっていた。
ru『…康二くん、だ』
mm『何、知ってんの？』
ru『知ってるも何も、幼なじみで、』
mm『え、いつの？』
ru『7年前くらいまでの、かな』
mm『……ああ、なら声かけんのはやめといた方がいいかもな』
ru『え？なんで？』
mm『あの人、近所に住んでて俺も世話になった人なんだけどさ、高2の時に事故って、昔の記憶失くしてるらしいから』
がつん、と頭を殴られたような感覚だった。
信じられなくて、彼に声をかけたことがあったけど、俺のことは本当に覚えてないみたいで。
kj『…ええと、その上履きは2年生やんな？俺今年は1年の担当やから名前わからんのやけど、、』
ru『…村上真都ラウール、です』
kj『わざわざありがとうな、もし関わる機会あったらそんときはよろしゅうな！』
俺の名前を聞いても、何も触れてこなかった。
mm「…声かけない方がいいって言ったのは俺だけど、康二くんにとってもラウールは大事だったはずだから。ラウールが望むなら、本当のこと話してもいいと思うよ」
申し訳なさそうに頭を撫でためめが、今繋がりがある彼が、羨ましくて仕方がない。
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年8月9日 15時
