“らしさ” ページ8
蓮side
康「うお、さっむ…」
真「さむーい！！」
冷たい風が俺らの間と通り抜けて、茶色い葉っぱを落としていく。天気がどんなに良くても、やっぱりコートが欲しくなる季節になって、康二と真都は2人で温め合うように寄り添いながら歩く。
「…康二くん、真都、遅い」
康「蓮くんが速いねん！！」
真「速いねん！」
5月まで、亮ちゃんがいたはずだったその場所に真都がいることに違和感がなくなった。いつの間にか、帰りに亮ちゃんが迎えにくることはなくなっていて、帰りの時間が合わないはずの真都は律儀に教室で待っている。
それが寂しいのか、そうじゃないのかはわからないけど。
「…涼太くん」
涼「ん？」
「僕って、変なの？」
涼「え？どうしたの？」
“兄弟仲良いんだね”
今まで、亮ちゃんと康二くん3人で帰ってたら聞こえてきていた言葉。その時は嬉しかったし、兄である2人が大好きだから、喧嘩のあまりない兄弟仲が誇らしかった。
“何か悩みがあったら言ってね”
最近かけられるようになった言葉。うちがたつくん家と一緒に暮らすようになってから、先生からよく言われる。もし家族に言いにくいことがあったら、って。そんなもの、ないのに。
よく気にかけてくれるようになった理由は、もしかしたらうちが普通じゃないからなのかもしれない。2つの家族が支え合って成り立っているのに、“同性愛”というだけで特別に見られてる気がする。先生の中で、同性愛がどう映ってるのか知らないけれど。
涼「変じゃないよ、蓮も、みんなも。父さんたちだって」
「そー、だよね」
涼「蓮は、今幸せだなーって思わない？」
「思う！俺、毎日楽しいもん」
パパの帰りが遅くて、亮ちゃんと康二くんと3人で家事を分担して。そんな日々がつまらなかったわけじゃない。それもそれで楽しかった。パパが帰ってくる前に眠ってしまっても、毎朝必ず笑顔で起こしてくれる。それだけで十分嬉しくて。休みの日は必ず俺らと過ごしてくれていたから、寂しくはあったけど、その暮らしは楽しかった。
「今も昔も、ずっとしあわせ、だもん」
ママがいなくて揶揄われたって、なんも気にならないくらいには、4人での暮らしは楽しくて。それが8人になって、9人になって。優しいお兄ちゃんが増えて、弟ができた。悩みだってこうして打ち明けられてる。
涼「うん。あのね、蓮。普通なんて誰にも決められないよ」
よそはよそ、うちはうち。うちのカタチは誰にも否定できない。
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鯱(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます…！！めちゃめちゃ嬉しいです！ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします！ (9月7日 16時) (
レス) @page47 id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 初めてコメント失礼致します。主様の作品全部好きでいつも見てますが、特にこの作品が好きです。家族のお話って年齢設定だったり関係性を書くのがとても大変だと思いますがいつも温かい家庭を見せてくださりありがとうございます。これからものんびり書いてくださいね。 (8月28日 17時) (レス) id: 25bcef5482 (このIDを非表示/違反報告)
ay(プロフ) - naruyuki0501さん» ありがとうございます。自分なりに何度も何度も書き直しながら書いてるのでゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2023年3月14日 18時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
naruyuki0501(プロフ) - いつも、少しずつみてます。自分も色々悩んでるので読んでで支えになります。救われてます。体調に気を付けて、更新していってください。 (2023年3月14日 15時) (レス) @page16 id: ddb2e6c93f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年2月28日 8時
