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翔太side
右手の温もり。
その持ち主は降り出した雪に手を伸ばしていた。
康「翔太くん！雪！」
「おー、ほんとに降ったな」
康「今年最後かもしれへんのやろ？蓮の誕生日に降るなんてすごいな！」
ニコニコ、楽しそう。
その笑顔できっと多くの人を幸せな気持ちにしてきたんだと思う。
「なんで？」
康「蓮が生まれた日も雪降ってたんやって！！」
「へえ」
康「俺は覚えてへんけどな」
パッと手が離れて、楽しそうに走り出す。
ねえ、勘弁して？笑
俺疲れたくないのよ。笑
ケーキを受け取って来た道を引き返す。
極寒の中の20分。
それでも康二は嬉しそうなんだから、こんな時間も悪くない。
「康二、ケーキ落とすなよ」
康「わかっとる！」
大事そうにケーキを抱えて、パタパタと駆けて曲がり角で姿が見えなくなる。
その背中が昔の俺らと重なった。
確か、あれは真都が母さんのお腹の中に来るより前の、父さんの誕生日で。
大好きな父へのプレゼントを抱えて、母さんの手を2人して離して、早く父の待つ家に帰りたくて。
母さんは慌てて追いかけて来たっけ。
子どもらしいその姿に呆れながら、康二が先に曲がった角を曲がった。
曲がってすぐ、少し先で康二と誰かが対峙してるのが見えた。
慌てて駆け寄れば、そこには小さく震え、顔が真っ青になった康二と、あの日照と一緒にいるのを見かけた女の人だった。
亮平と蓮、そして康二の母親だ。
母「あら、どちら様？」
「…康二、帰るぞ」
こちらを見る目を見て、俺の中で危険信号が鳴り響く。
一刻も早く、康二をこの場から引き離したくて、手を引いて今来た道を引き返そうと振り返った。
母「ねぇ」
康二がピタリと止まる。
まるで操られているかのように。
母「蓮に会いたいのよ、ママ。今日は蓮の誕生日でしょう？」
康「…」
母「お家にお邪魔しようと思ったんだけど、道に迷っちゃって。ねぇ、ママを連れてって？」
「……すみません、失礼します」
康「翔太くん、」
母「ねえ、“康二”」
名前を呼ばれた康二は俺の手を力一杯握り締める。
康二からの、SOS。
その手を握り返して、早足でその場から離れた。
母親は、着いては来なかった。
ブルブル震える康二を公園のベンチに座らせて、父さんと涼太の携帯に電話をかける。
何度目かのコールで出てくれた涼太に状況を伝えて、康二の背中をひたすらさすっていた。
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鯱(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます…！！めちゃめちゃ嬉しいです！ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします！ (9月7日 16時) (
レス) @page47 id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 初めてコメント失礼致します。主様の作品全部好きでいつも見てますが、特にこの作品が好きです。家族のお話って年齢設定だったり関係性を書くのがとても大変だと思いますがいつも温かい家庭を見せてくださりありがとうございます。これからものんびり書いてくださいね。 (8月28日 17時) (レス) id: 25bcef5482 (このIDを非表示/違反報告)
ay(プロフ) - naruyuki0501さん» ありがとうございます。自分なりに何度も何度も書き直しながら書いてるのでゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2023年3月14日 18時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
naruyuki0501(プロフ) - いつも、少しずつみてます。自分も色々悩んでるので読んでで支えになります。救われてます。体調に気を付けて、更新していってください。 (2023年3月14日 15時) (レス) @page16 id: ddb2e6c93f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年2月28日 8時
