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蓮side
「康二くーん」
康「あ！蓮！おまたせ！」
6時間目まである康二くんを外で遊びながら待っていた。
本当は帰ったっていいんだと思うけど、なんだかんだで康二くんと帰るのが日課だから。
康「蓮汚れとるよ？」
「うわ、やば」
康「水道行こ！今ならまだ落ちるかも！」
雪は溶けたとはいえまだ地面は湿ってて。1人でサッカーをしていた俺のズボンには泥がついていた。
ハンカチを使って丁寧に落としてくれる康二くん。こういうところ、お兄ちゃんだよなぁなんて嬉しくなった。
俺だけのにいちゃん。今は、俺だけの。
家に帰れば真都もいて、俺1人の兄じゃなくなって。
俺も、弟じゃなくて兄になる。
少し前までは当たり前のように末っ子だったけど、今はこんな時間が結構貴重で。
素直に甘えられるし、甘やかしてくれるし、だけど普段は対等に接してくれる。そんな康二くんとの時間もちゃんと欲しくて、わざわざ康二くんが授業終わるの待ってるんだよね。
康「んし、だいたい落ちたかな？」
「ありがと」
康「ええよ！早よ帰っておやつ食べようや！」
「うんっ！」
少し俺より背の高い康二くんはぎっしりと詰まったランドセルを背負って歩き出す。いつだって感情豊かなその顔は、みんなにもいろんな感情を与えてくれる。
「こーじ」
康「ん？って、くん付けや〜」
「んふ、だって康二ってお兄ちゃんぽくないもん」
康「なんでそんなこと言うん！昔はこーちゃんって可愛く呼んでたくせに！」
「いつの話だよ笑」
んもう、と言いつつもニヤニヤしてるのバレてるよ？笑
康二くんが使う言葉。
それはパパとは違う、きっとママのもの。
みんな俺には詳しくは教えてくれてないけど、そう言うことでしょ？
じゃあなんで、俺には移らなかったのかな。
亮ちゃんには移らなかったのかな。
パパとの時間よりはるかにママとの時間が長かったはずなのに。
顔も覚えてない母親。
声だって、喋り方だってもう忘れた。
だけど、俺の中で強く残り続ける母親の温もり。
1番古い記憶の中で、母親の綺麗な手が俺の頬を包み込んでいて。
蓮、って呼んでくれてたと思う。
その時の声なんて覚えてないけど。
ぐ、と掴んでパパを引き止めたのはよく覚えてる。
ただ家族を壊したくなかっただけ。なのになぜだかいなくなった母親。
離婚というものをきちんと理解していなかったあの頃。
あの頃の俺が望んだ家族というものは、いとも簡単に壊れてしまった。
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鯱(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます…！！めちゃめちゃ嬉しいです！ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします！ (9月7日 16時) (
レス) @page47 id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 初めてコメント失礼致します。主様の作品全部好きでいつも見てますが、特にこの作品が好きです。家族のお話って年齢設定だったり関係性を書くのがとても大変だと思いますがいつも温かい家庭を見せてくださりありがとうございます。これからものんびり書いてくださいね。 (8月28日 17時) (レス) id: 25bcef5482 (このIDを非表示/違反報告)
ay(プロフ) - naruyuki0501さん» ありがとうございます。自分なりに何度も何度も書き直しながら書いてるのでゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2023年3月14日 18時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
naruyuki0501(プロフ) - いつも、少しずつみてます。自分も色々悩んでるので読んでで支えになります。救われてます。体調に気を付けて、更新していってください。 (2023年3月14日 15時) (レス) @page16 id: ddb2e6c93f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年2月28日 8時
