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大介side
本当は、戻らないほうがいいんじゃないかって思ったんだ。
だから連絡先を聞かれた時躊躇した。
自分の名前を言うのすら怖くて。
困ったように黙った俺を見た田中さんが、松村さんと3人だけの空間にしてくれて。
田「佐久間大介くん、だよね？」
「…はい、」
田「覚えてる？俺と北斗、昔大介くんと会ったことあるんだけど…」
松「もう何年前かな、俺らがまだ新人だった頃だよね」
優しく、ゆっくりと。
あの頃の2人と同じ、俺を安心させるための言葉。
それがすごく嬉しくて、思わず涙が出た。
泣く俺の隣にしゃがんで、2人が背中をさすってくれる。
机に置かれた資料の1番上。松村さんが持ってたバインダーに挟まる一枚。
捜索願と書かれた書類。
辰哉さんの字で、俺の名前が書かれていた。
…ああ、俺をちゃんと探してくれる人がいる。
辰哉さんだけじゃない、照さんの名前も載っている。
細かく俺の身体特徴が書かれてて、それに妙に安心して。
「…さくま、だいすけです。16歳で、誕生日は7月5日。保護者は、深澤辰哉と岩本照で、住所は____、」
辰「っ大介！！」
待つこと30分。
もうすでに時計の針は12を超えていて。
汗だくになりながらも息を切らし、交番に駆け込んできた辰哉さんは、俺の腫れた顔を見るなり顔を歪ませながらぎゅうっと俺を抱きしめた。
少しだけ、あざになってるところが痛い。
細い体とは思えないほどの強さで抱きしめられて、腫れ上がった頬が辰哉さんの服に当たってジンジンする。
でも、その痛みが、これは現実だと教えてくれた。
こんなにも必死になってくれる人が、俺にはいる。
1人じゃない。おじいちゃんもおばあちゃんも、母さんも。ずっと俺を想ってくれてた。
そして、今目の前にいる大事な家族も。
「…ゆき、つもるかなぁ」
ふわふわ途中を舞う白い雪。
不思議と寒くはなかった。
ぎゅ、と俺の右手を握る亮平の力が強くなる。
亮「つもるよ、きっと。つもったらさ、9人で雪合戦しようね。約束したでしょ？」
「んふ、俺、弱いよ」
翔「それでもいーよ」
蓮「大ちゃんも絶対、一緒にやろう」
康「たーくさん！思い出つくろうな！」
すやすやと眠る真都くんを背負った涼太は優しく笑う。
…久しぶりに見たな、涼太が笑うところ。
そして、後ろから俺らを見守る辰哉さんと照さん。
ねぇ、たくさんごめんね。ありがとう。
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鯱(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます…！！めちゃめちゃ嬉しいです！ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします！ (9月7日 16時) (
レス) @page47 id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 初めてコメント失礼致します。主様の作品全部好きでいつも見てますが、特にこの作品が好きです。家族のお話って年齢設定だったり関係性を書くのがとても大変だと思いますがいつも温かい家庭を見せてくださりありがとうございます。これからものんびり書いてくださいね。 (8月28日 17時) (レス) id: 25bcef5482 (このIDを非表示/違反報告)
ay(プロフ) - naruyuki0501さん» ありがとうございます。自分なりに何度も何度も書き直しながら書いてるのでゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2023年3月14日 18時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
naruyuki0501(プロフ) - いつも、少しずつみてます。自分も色々悩んでるので読んでで支えになります。救われてます。体調に気を付けて、更新していってください。 (2023年3月14日 15時) (レス) @page16 id: ddb2e6c93f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年2月28日 8時
