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大介side
両手いっぱいの荷物をなんとか持って前を歩く祖母に必死についていく。全ての荷物を持たされるものだと思ってたけど、祖母の手にもビニール袋いっぱいの食材が詰まっている袋が一つ下がっていた。
「あ、の！」
祖母「何？」
「…俺に、料理教えてくれませんか」
ここにきてから褒められたことのない料理の腕前。
もちろん来る前よりは上達しているはずだけど、食べやすくなっただけであまりおいしくは感じない。
もし、母のような料理の腕前があれば、あの人は俺を認めてくれるんじゃないか、なんて。
祖母「…どうして？」
「料理、できるようになれば、」
祖母「無駄よ」
ピシャリと言い切られて、ぐ、と黙る。そりゃそうだ。俺の存在を嫌ってる人が料理を教えてくれるわけがない。
ゆらゆらと揺れる視界。自分の足ばかり見てしまうのは、俺の悪いところ。
そんな俺を見て、祖母は俺に“顔を上げなさい”と優しい声で言った。
祖母「…それでいいの？」
「えと、」
祖母「変わらないわよ、あの子は何も」
「あの、どういう、」
祖母「どうして“帰ってきて”しまったのよ、、」
はぁ、とため息をついたその顔には悲しみが含まれているように見えた。初めて見る優しく、悲しい顔。瞳は俺と同じようにゆらゆらと揺れていた。
祖母「…だいすけ、いい名前ね」
するりと俺の頬を撫でた。初めて触れるその手はしわしわで、でもあったかくて。ずっと知らなかった、“おばあちゃん”の手だった。
祖母「顔も声も、お母さんにそっくりね」
あ、この表情知ってる。
よく辰哉さんが、照さんが、翔太や亮平たちを同じ表情で見てた。
愛おしそうに微笑んで、涙を一筋流した。それを見て俺も涙が溢れる。
「…おばあちゃん、」
祖母「ごめんね、大介。ずっとずっと会いたかった」
でもこんなんじゃ、あなたのおばあちゃんを名乗る資格なんてないわね。
そう言って俺の涙を拭う。
そう、この暖かさが欲しかった。
母さんとは違う、“おばあちゃん”という存在。
おばあちゃんからだからこそ得られる愛情。
祖母「ずっと願ってた。あなたがどこかで幸せになってくれてることを。おじいさんもね、あなたに冷たくしてしまったこと後悔してるのよ。傷つけてごめんなさいね」
フルフルと首を横に振れば、おばあちゃんは小さく笑う。
ぐしぐし、と自分で涙を拭って、にぱっと笑って見せれば、優しく頭を撫でてくれた。
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鯱(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます…！！めちゃめちゃ嬉しいです！ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします！ (9月7日 16時) (
レス) @page47 id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 初めてコメント失礼致します。主様の作品全部好きでいつも見てますが、特にこの作品が好きです。家族のお話って年齢設定だったり関係性を書くのがとても大変だと思いますがいつも温かい家庭を見せてくださりありがとうございます。これからものんびり書いてくださいね。 (8月28日 17時) (レス) id: 25bcef5482 (このIDを非表示/違反報告)
ay(プロフ) - naruyuki0501さん» ありがとうございます。自分なりに何度も何度も書き直しながら書いてるのでゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2023年3月14日 18時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
naruyuki0501(プロフ) - いつも、少しずつみてます。自分も色々悩んでるので読んでで支えになります。救われてます。体調に気を付けて、更新していってください。 (2023年3月14日 15時) (レス) @page16 id: ddb2e6c93f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年2月28日 8時
