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辰哉side
“辰哉”
あいつの声が、頭の中をぐるぐる回る。
夢にまで出てくるようになった佐久間という男は、妹のかつての旦那で、大介の父親らしい。
「っ！」
ぞわりと身体に何かが触れるのを感じて咄嗟に振り払う。ﾊﾟｼﾝ､と確かに俺の手は“何か”を払っていて、その“何か”を辿れば、そこに立っていたのは愛しい息子だった。
真「…ぱぱ、」
「ま、真都、ごめん、パパ、」
真「……ぅ、」
顔を歪めた真都を咄嗟に抱きしめる。ごめん、ごめんと謝れば、小さく声を上げて泣き始めた。
真「ぱぱぁっ」
「ごめんね、まい。ごめん」
真「…っく、うわぁん、やだぁ、」
やだやだ、と俺に抱きつく姿は、真都らしくない行動で。こんなに小さい体で必死に目の前の現実を受け入れようとしていたのに、俺は何をしていたんだろう。
俺がやるべきこと。それは大介を探し出すことで。でも大介だけじゃなくて真都たちの悲しみに寄り添うことも俺の役目のはず。ボーッと時間が過ぎるのを待つだけじゃ状況は変わるはずがない。
ぱぱ、ぱぱ、と縋るように泣く真都をギュッと強く抱き締めて、深呼吸。大丈夫。大介を必ずあの男から取り戻す。妹があいつから逃げて大介を守った過去と同じように、今度は叔父である俺がその役目を担う。もちろん、照と一緒に。
いつまでも落ち込んでたらダメだ。翔太が俺を守ってくれたように、涼太が支えてくれたように、真都がこうして教えてくれたように。
大事な甥をもう一度抱きしめられるように、俺が。
“____お兄ちゃんと離れてから、私は〇〇村という小さな集落のある田舎で暮らしました。”
妹が俺に宛てた最初で最後の手紙。そこには確か、あいつがこれまでどこで何をしていたのかが書かれていたはず。
泣きじゃくる真都を抱えて、俺と照の部屋をひっくり返すように漁り、手紙を探し出す。申し訳ないぐらい散らかしてしまったのは後で謝るとして、その手紙を開いて村の名前を検索にかければ、県境の山奥にある、人口の少ない小さな村がヒットした。
…何かわかることがあるかもしれない。
もう既に他界しているらしい里親さんたちだけど、そこまで遠くないし、行ってみる価値はあるかもしれない。
明日は照が休み。俺は急いで店に連絡をとり、休みを貰った。子どもたちが学校に行ってる間。そこがチャンス。
照に、明日予定を空けておいて欲しいと連絡を入れて、その村までの道のりを調べることにした。
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鯱(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます…！！めちゃめちゃ嬉しいです！ゆっくり更新ですがこれからもよろしくお願いします！ (9月7日 16時) (
レス) @page47 id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 初めてコメント失礼致します。主様の作品全部好きでいつも見てますが、特にこの作品が好きです。家族のお話って年齢設定だったり関係性を書くのがとても大変だと思いますがいつも温かい家庭を見せてくださりありがとうございます。これからものんびり書いてくださいね。 (8月28日 17時) (レス) id: 25bcef5482 (このIDを非表示/違反報告)
ay(プロフ) - naruyuki0501さん» ありがとうございます。自分なりに何度も何度も書き直しながら書いてるのでゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2023年3月14日 18時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
naruyuki0501(プロフ) - いつも、少しずつみてます。自分も色々悩んでるので読んでで支えになります。救われてます。体調に気を付けて、更新していってください。 (2023年3月14日 15時) (レス) @page16 id: ddb2e6c93f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年2月28日 8時
