検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:40,219 hit

□□ ページ35

.


ゴトリ、と。


 シャワーを終え脱衣場から出たタイミングで、何かが落下したような音がした。


「…光くん?」


 濡れ髪もそのままに少し足早でリビングに向かうと、ローテーブルの手前で立ち止まっている光くんが見えた。その足元にはペットボトルが転がっていて、さっきの音はこれだったのかと合点がいく。一点を見つめ微動打にしない彼にどうしたんだろうと視線の先を辿ってみると、ああ…成程と。これは見ちゃった感じだろうか。


「光くん?」
「…え?あ……」


 俺の声にようやくこちらを向くと、ハッとしたように慌ててペットボトルを拾う。


「予告、映ってた?」
「っ……」


 ソファーに座りかけた光くんに問いかけると、また分かりやすく視線を彷徨わせ、逃げるようにキッチンへ抜け出す。もう、落ち着かないな。


「ねぇ…光くーん?」


 追いかけた先で冷蔵庫を開けるのが見えて、俺はそれを上から手を伸ばして押さえつけバタリと閉めた。特に取りたいものがある訳でもないだろうに、何やってんのよ。びっくりしたのか今度は脇を抜けて行こうとするから、俺は溜息混じりに細い腕を掴んだ。


「……ちょっとー」
「なっ…」


 肩にかけていたバスタオルを逃げようとした腰に回して動きを制する。これなら無理でしょ。俺は諦めろと言わんばかりにタオルを引いた。


「はい、もうウロウロしない」


 こうなった以上、もうどうにもならないと悟ったのか光くんは大人しくなった。でも未だに俺を見ようとはせず、視線を逸らして俯いている。


「ひか」


 少し強めに呼ぶと、一瞬ビクリとして上目に見上げてきて、ようやく目が合った。若干の不服そうなその顔に可愛いなと思いつつ、自分も少しの不満をぶつける。


「逃げないでよ」
「逃げてないし…」
「いやめっちゃ逃げてたじゃん」



ーー・・

□□→←不意打ちのキスなんていらない



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (120 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
154人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アキラ(プロフ) - しろくまさん» わっ、しろくまさん早速コメありがとうございます!私の頭の中はゆとひかでいっぱいです(笑)ビジュアル無敵のゆと最高ですー☆にゃんの名前呼びはガチで聞きたい勢です(笑)更新頑張りますね! (2018年7月1日 19時) (レス) id: f169dfc484 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - やって来ました。楽しませていただいています。ゆとひか…いつなんどきもイケメンのゆと君と何しても可愛いひかにゃん。ビジュ最高〜!ひゅーひゅー★ゆとくん呼びは逮捕案件〜萌えすぎる〜!更新、楽しみにしてますね。 (2018年7月1日 11時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - こんぺいとうさん» 初めまして!ゆとひか、アリ岡ですか?とても嬉しいです!これからもキュンキュンしてもらえるように頑張りますね(^-^)コメントありがとうございました。 (2018年4月12日 21時) (レス) id: f169dfc484 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - 初めまして!!読ませて頂きました!ゆとひか……アリ岡ですね。光くん、可愛くて読んでるこっちがきゅんとします。これからも頑張ってくださいね! (2018年4月12日 1時) (レス) id: aef38d8764 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - ねね子さん» ねね子さん、こちらへもコメントありがとうございます!一緒にゆとひかを語れるお仲間さんがいるの、とても嬉しいし心強いです!またゆとひか語りましょうね!まだまだ占ツク慣れないですが、ぼちぼち更新していこうと思ってますので、温かく見守ってください(^ω^) (2018年4月11日 7時) (レス) id: f169dfc484 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アキラ | 作成日時:2018年4月9日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。