志摩一未の思い その3

その6 ページ14

伊吹の盗聴に気づき、電話をかけると船の汽笛の音が聞こえ、東京湾マリーナに向かった。


志「Gの11…」


九重の情報から得たGの11のクルーザーを見つけ、警棒を出しクルーザーに乗り込む。

中は異様なにおいがし奥の部屋の隙間から、Aの服が見えた。


志「…A、」


扉を開けるとAの隣には伊吹もいた。
ふたりを部屋から出し声をかける。


志「A！伊吹！起きろ…おい！起きろ伊吹！A！」

「やっぱもう一匹おったかぁ。ワンワンホイホイ」


声のする方を見ると、マスクをつけた久住がいた。


志「それは」

「覚せい剤よりも高価で、ドーナツEPよりも気持ちよ〜くなれるドラッグ」

志「そんなもんつくってどーする」

「おもろいやん！なぁんも考えんで気持ちよくなっといたらええやん」

志「アヘンで滅んだ国があったな」

「簡単に滅ぶでぇ」

志「それが目的か」

「目的なんかないよー。阿呆どもが、ワーワーやってるのを高いとこから見とるだけ」

「ほな、おやすみ」


ドンッと背中を押され、部屋に入れられた。


志「おい伊吹！A！…起きろ！おい！」

「はいはいはいはい」


意識がぼんやりしてきた…。


……。


志「…っはぁっ、」


気がつくと、夜になっていた。
重い体を起こし未だ意識のないAと伊吹に呼びかけた。


志「A…伊吹…！」

「あ、おはようさん。お仲間ふたり、たんまり吸い込んどんなぁ、その分起きひん」

志「はぁ…っ、伊吹ぃ！起きろ！A！」

「なぁ、俺と組まへん？」

志「…はぁ？」

「エトリは色暗いの阿呆やったけど、志摩ちゃんとは仲良くなれそうや」

志「その前にお前は逮捕される」

「そんなん騙されへんてー、なんでひとりで来たん？3人1組やろ？連携取れてないですやん」


久住が伊吹とAの間に腰を下ろすと、ふたりの口と鼻を片手で塞いだ。


「ここで死んでも、誰も気付かへんよなぁ。人間なんて、片手で殺せるで」

志「…」


久住に拳銃を向ける。


「拳銃持っとったん」

志「…撃てないと思うか？」

「どーやろ。でも志摩ちゃんはお巡りワンワンやからなぁ」


久住の挑発に立ち上がり銃を構えた。
すると、同時に後ろでガチャっと音がした。


「後ろ、火ついてんで」

志「分かってないな…銃声を聞けば伊吹は起きる。その時俺が死んでたら、ふたりはお前を絶対に許さない」


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