08.ばか ページ9
『へへ』
志「…ばか!!」
4機捜分駐所では、ヘラヘラとする傷だらけのずぶ濡れの女性とその子の前に腕を組んで声を上げた男性が目立っていた。
伊「まぁ、志摩。Aちゃんお手柄だったし、怪我もかすり傷程度で良かったじゃん」
九「早くシャワー行かせた方がいいと思いますよ」
志「はぁ…とりあえずシャワー行ってこい」
『はい!』
いつも通り元気に分駐所を出たA。
今日のあいつは張り切りすぎていた。
先日から発生していた女性への暴行事件。
その犯人が見つかりAも加わり俺と伊吹とで追いかけていた。
□
何キロ走っただろうか、犯人も俺らもバテてきた頃、犯人が通りかかった川の橋から身を投げた。
志「おいやめろ!」
『!!』
それを、Aは犯人の服を掴んだせいでAまで引きずり込まれてしまった。
志「A!」
伊「Aちゃん!」
慌てて橋の下を覗くと幸いにも川はある程度深さもあり、橋も低かったためふたりは無事だった。
犯人も逮捕され、Aもかすり傷程度で済んだ。
□
『戻りました〜』
志「座れ、ばか」
『…志摩さん怖い』
伊「Aちゃん、今日は大人しく怒られときな」
『はぁ』
いや、こっちがため息つきてーよ。
向かいに座ったAは居心地が悪いのかソワソワしていた。
志「…はぁ。顔見せろ」
顔を上げさせると、怪我した所を消毒し始めた。
『痛っ!志摩さん〜もうちょっと優しく…』
志「は?」
『スミマセン』
顔、手、足…。
志「お前、全身怪我するってどういうことだよ」
『どういうことでしょう』
志「ばか」
『3回目』
志「…ばーか!」
『うぅ…』
志「…無鉄砲なバカは伊吹だけで十分だ」
伊「んん?」
『…すみませんでした』
志「…今後気をつけてくれればいい」
『気をつけます…。約束は出来ませんけど』
反省したかと思えば、ケロッと保険をかけてきやがった。
思わずまた言ってしまった。
志「…ばか!」
『もう…バカバカって、志摩さん子供みたいですよ』
これで最後にしたい…。
志「反省しろ!馬鹿!」
・
09.カップルで→←07.彼女の家(志摩 → 主人公side)
268人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まとい | 作成日時:2020年7月29日 12時