志摩一未の思い その2

07.現在地 ページ13

『お腹すきましたねぇ』

志「伊吹が出前取ったみたいだけど」

伊「あ！来た。太郎！出前太郎！」


伊吹がドアを開け呼び止めるがスルーして行った。


伊「あれ…別の配達かな？」

志「この前までコスモデリバリーが走ってたのに見なくなったな」

伊「名前がダサい。出前太郎の方がイケてる」

『何取ったんですか？』

伊「来てからのお楽しみぃ〜。Aちゃんきっと喜ぶよー」

『えーなんだろ』

志「あまり期待するな。どーせうどんだろ」

伊「うどんは休み。401も休み」

志「陣馬さん、大丈夫かなぁ」

『息子さんの結婚の顔合わせですよね？』

『いいなぁ結婚』


その言葉にピクリと反応してしまった。


伊「なに？Aちゃん結婚したいの？」

『そりゃぁ、いつかは…』

伊「誰と？もしかして志摩〜？」

志「え」

『えぇ…いやぁ…』

志「え、なんかすっごい嫌そうな声が聞こえたんだけど」

伊「あ、じゃぁ…俺？」

志「なんでだよ」

『まだ相手まで考えてませんよ。でも20代のうちに結婚したいですねぇ』

志「結婚か…」


無意識にAとの将来を描く俺は重症だろうか…。
伊吹にだけは悟られたくない。


伊「あ！きたきた！今度こそ！」


再び伊吹がドアを開け出前太郎を呼び止める。


「お待たせしました。ライバル店のリサーチっすか？」

伊「え？あぁ、違う違う」

志「メロンパン…メロンパン…」

『わぁ、色んな味ありますね』

志「全部メロンパン！？」

伊「うん。メロンパン9個」

「ありがとうございました」

伊「どーも〜」

『私チョコチップ！』


Aの要望品を渡す。


伊「ちょっと待って待って！写真撮らないと」

『写真？』

伊「そ、ハムちゃんに送るの」

『ハムちゃん、伊吹さんの相手してるんですか？面倒くさそう…』

伊「結構喜んでくれてるんだよ〜」

『私もメッセージ送ってみよ』

A面倒なら伊吹さんの相手しなくて大丈夫だよ!
ハムちゃん私が相手してもらってるんだ!伊吹さん、ハートマーク使うと喜ぶの。笑


伊吹はスマホを見て何やらニヤけていた。


『うわぁ…』

志「…伊吹、Aが引いてるぞ」


お昼のメロンパンを食べていると無線が入った。
トランクルームに男性の遺体を発見した──


伊「機捜404。我孫子橋から向かいます」

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