03.信頼【剛】 ページ3
*
剛「凄い荷物だね」
『え、あ。綾野さん』
またオフの日、見かけた彼女に声をかけた。
『ちょっと買いすぎちゃって』
剛「貸して、家まで送るよ」
『え、でも』
剛「いいからいいから」
彼女の手から重そうな荷物を取るとスタスタと歩き出す。
『あ…ありがとうございます』
剛「いいのいいの」
いつも通り話しながらAちゃんの家に向かった。
剛「あ、やっぱ一緒に住んでるんだね」
『さすがにプロポーズまでされたら』
剛「今日、源ちゃんは?」
『もうそろそろ帰ってくると思いますよ』
剛「…」
買ってきたものを冷蔵庫にしまったりするAちゃん。
彼女に触れようと、後ろから手を伸ばした時、玄関からガチャッと音がした。
『あ。帰ってきた』
源「ただいまー」
『おかえりなさい』
源「ん。あれ、剛くん来てたの?」
剛「おかえり〜」
『買い物しすぎちゃって…偶然綾野さんが通りかかって荷物持ちさせちゃった』
源「そっか。ありがと、剛くん」
剛「お易い御用」
源ちゃんもいつもの笑顔でお礼を言ってくるあたり
Aちゃんとふたりでいることをあまり気にしていない様子だ。
俺の事を信頼しているらしい。
『あ、綾野さんもご飯食べていきませんか?』
剛「え?いいの?」
源「全然いいよ」
剛「じゃぁご馳走になります」
それからご飯を食べながらワイワイ話していた。
冗談っぽく「俺も剛くんって呼んで」と言ってみた。
『いいのかなぁ』
源「剛くんがいいならいいんじゃない?」
帰り際に連絡先を交換することになっても
源ちゃんは特にうるさく言うことは無かった。
信頼し過ぎだよ?
今俺が考えてることなんて、想像もつかないだろうな。
源ちゃん。
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作者名:まとい | 作成日時:2020年12月15日 2時