【MIU404】野生刑事がみつけた「それ」

44.あいちゃんじゃなくて ページ45

◆志摩


志「…A、朝飯」

『……うん』

志「……」


あれから、Aは元気がない。


志「……今日、どっか出かけるか」

『……どこに？』

志「んー…どこ行きたい？」

『……水族館』

志「好きだな。そうだ、そういえばクラゲ水族館ってのがあるらしい。他よりクラゲがいっぱいだって」


前に調べたサイトを見せると、目を輝かせるA。


志「ここ行ってみるか」

『うんっ』


少し遠くということもあり、昼前に家を出た。
1時間くらい車を走らせ到着。


『クラゲ行こ！ クラゲ！』

志「急ぐと危ないぞ」


楽しそうに俺の手を引くAに顔が緩む。

クラゲのコーナーは他の水族館より多かった。
あちこちの水槽を覗いては、楽しそうにする。


＜12:10より、イルカショーを行います＞

『あ、イルカショー行こ！ あいちゃん！』


そう言って俺の手を掴んで早足で数歩進んだところで止まった。


志「……」

『……ごめんなさい』


振り返って至極申し訳なさそうに謝ってくるAに笑いかけ、頭を撫でる。


志「気にすんな。イルカショー見に行こう」

『……ん』


Aの手を引いて、ショーが行われる野外へ。
最初こしょぼくれていたAだが、ショーが始まればすぐに見入っていた。


『わ、しまちゃん、凄いよ！』

志「凄いなー」


およそ30分のショーの後、フードコートで昼食を取った。


志「……なぁ、A」

『うん？』

志「伊吹と連絡取ったか？」

『…………ううん』

志「……連絡、してやれば」

『……あいちゃん、きっと怒ってるから』

志「……」

『助けてくれたのに…怖がっちゃった』

志「伊吹は気にしてない。連絡してみな、喜ぶから」

『……』


◇


志「……欲しいのか？」

『……』


帰り間際に通ったお土産屋で、でかめのクラゲのぬいぐるみを見入るA。
欲しいか聞くが、遠慮してるのか首を横に振る。


志「…ほら、他に何が欲しい」

『……これだけ』


遠慮がちにそのぬいぐるみを手に取る。
買ってやると、嬉しそうに抱きしめてそのまま帰宅した。



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