04.怯え ページ5
◆伊吹side
伊「あー。なんもなかった」
丸一日、女の子のことについて調べたが何もわかったことは無い。
桔「おつかれ。どうだった？」
志「一応、同じくらいの年代の行方不明届けが出されてる家に聞き込みに行きましたが、何も手がかりはありませんでした」
桔「そう、わかった。片付けたら帰っていいよ」
・
・
・
伊「んー…どーにか話してくれねーかなぁ」
志「せめて名前さえ分かればな」
俺が病院に行くと言うと、志摩も着いてきた。
伊「おはよー」
『…』
伊「コンビニでね、色んなもの買ってきたよ！甘いものは好き？チョコとかどう？」
『…』
伊「病院の飯マズイって聞くからさ、美味しいものも食べなよ！」
志「いや、失礼だな」
伊「これ、俺のイチオシ！シュークリームぅ」
「はい！」とシュークリームを差し出すと、それをじっと見つめる彼女。
伊「？？ 食っていいよ」
『…たべ、も、の……？』
志･伊「！」
掠れたような細い声。
志「…」
伊「そ、食べ物。うまいよ」
ビッと袋をあけ中身を差し出す。
伊「クリームこぼれないように気をつけてね」
震える手でシュークリームを取り、少し眺める。
伊「…」
『…』
ゆっくりと口に運ばれかぶりつく。
『…！』
伊「ぉ、」
ほんの少し、驚いた顔をした。
伊「美味しい？」
『…』
コクッと小さく頷き、パクパクと食べる様子に気に入ったんだと解釈した。
半分ほど食べた時、夢中になっていたのか
反対側からクリームがはみ出しているのに気づかず、ポトリとシーツに落ちた。
伊「あぁ、」
ティッシュを取ろうと椅子から立ち上がった瞬間、彼女が声を上げた。
『ごめんなさいっ！！』
志伊「！？」
バッと頭を庇うように腕を上げ、『ごめんなさい！』と何度も繰り返す。
伊「いや…」
志摩が落ち着かせようと、彼女の背中に置いた手にすら過剰に体をビクつかせる。
志「……大丈夫だ。俺もこいつも、手を挙げたりしない」
『ごめんなさい…っ、ごめんなさい』
伊「大丈夫」
その後、残りの半分を泣いて震えながら食べきろうとしたので、無理しないようにと止めた。
ほんの少しの動きでビクつくほどだ。
これまで一体、どんな仕打ちを受けてきたのだろうか。
志「彼女の様子からして、暴力を振るわれてたのはほぼ確実だろうな」
伊「…」
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハノン(プロフ) - 完結おめでとうございます‼︎ (4月16日 8時) (
レス) @page50 id: 1f618da4ab (このIDを非表示/違反報告)
ハノン(プロフ) - はわ、、、結婚ですか💍はわわ、、、お返事はどうなるんでしょう😇楽しみにしています。 (4月12日 16時) (レス) @page47 id: 1f618da4ab (このIDを非表示/違反報告)
karen11061999(プロフ) - 最高です。更新待ってます！ (11月19日 20時) (レス) @page35 id: b38f00e9bf (このIDを非表示/違反報告)
課長封月X(プロフ) - お礼の仕方、、、。切なくて苦しいです、、。お話大好きです！更新楽しみにしてます！ (10月18日 0時) (レス) @page27 id: 160d503e2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん(プロフ) - 最高すぎてお気に入り登録させてもらいました！！更新楽しみにしてます☺︎ (8月10日 3時) (レス) @page12 id: 96f35707a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さめ
| 作成日時：2023年8月3日 14時
