26.お礼 ページ27
◆伊吹
伊「A、昨日買ったメロンパン一緒に食べよー。A食べたことないっしょ？」
「はい」と渡せば、早々にメロンパンにかじりついた。
『んー！甘いっ』
伊「美味いっしょ。このお店のメロンパン俺も好きなんだよね〜」
ふたりでメロンパンを食ってひと休み……
伊「今日は勉強も休んでのんびりしよう」
『……ねぇ、あいちゃん』
伊「んー？何？」
『あのね、あいちゃん、いっぱい色んなこと教えてくれたでしょ？』
伊「んー…俺が教えられることはね。大したことねーけど」
『いっぱい色んな所も連れてってくれたし、いろんなの見せてくれた』
『だから、あいちゃんにお礼したい！』
伊「お礼？」
『うんっ』
伊「何を──」
『お礼がしたい』と一言いったAは、俺の上に跨りキスをしてきた。
伊「……A？」
ゆっくりと離れた彼女の顔は恥じらいはなく、
当たり前のことのようにズボンに手をかけてきた。
伊「ちょ、ちょっとたんま！！」
慌ててAの手を掴んで止める。
『…？』
伊「え…何、しようとしてんの？」
『お礼、だよ？』
分からない、といった表情で見つめられハッとする。
Aを見つけた頃の隊長との会話。
性的虐待を受けていた──。
これが、彼女が教えられた"お礼の仕方"
伊「っ……」
ふつふつと、虐待をした男への怒りが湧いてくる。
名前も与えられず、存在も消され、言葉もままならないほどに教育を受けさせて貰えなかったA。
怒りも、悲しみも湧いた。
伊「A…」
たまらなく抱きしめる。
『……あいちゃん？』
伊「こんなお礼、しちゃダメだよ」
『なんで？ お礼は、いいことでしょ？』
伊「うん。感謝するのはいいことだよ。でも、これはお礼じゃない」
『…じゃぁ、何がお礼？何をすればいいの？』
伊「その人に、『ありがとう』って言うんだ」
『……それだけ？言うだけなの？』
伊「そう。言うだけ。それだけで、嬉しいから」
『…何もしなくても、怒らない？殴らない？』
伊「怒らないし殴らない」
『……』
伊「大丈夫」
『…あいちゃん、』
伊「ん？」
『ありがとう！』
そう言って笑うAを見て、何故か泣けてきた。
『あいちゃん？ どこか痛い？』
伊「ううん、違う。違うけど……よくわかんない」
『？』
伊「嬉しいんだと思う」
Aが笑ってくれる。
色んなことを覚えて、成長していく。
それが凄く嬉しい。
伊「……好き」
『…？』
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ハノン(プロフ) - 完結おめでとうございます‼︎ (4月16日 8時) (
レス) @page50 id: 1f618da4ab (このIDを非表示/違反報告)
ハノン(プロフ) - はわ、、、結婚ですか💍はわわ、、、お返事はどうなるんでしょう😇楽しみにしています。 (4月12日 16時) (レス) @page47 id: 1f618da4ab (このIDを非表示/違反報告)
karen11061999(プロフ) - 最高です。更新待ってます！ (11月19日 20時) (レス) @page35 id: b38f00e9bf (このIDを非表示/違反報告)
課長封月X(プロフ) - お礼の仕方、、、。切なくて苦しいです、、。お話大好きです！更新楽しみにしてます！ (10月18日 0時) (レス) @page27 id: 160d503e2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん(プロフ) - 最高すぎてお気に入り登録させてもらいました！！更新楽しみにしてます☺︎ (8月10日 3時) (レス) @page12 id: 96f35707a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さめ
| 作成日時：2023年8月3日 14時
