【MIU404】野生刑事がみつけた「それ」

22.美味しいもの、楽しいもの ページ23

◆志摩



『んん……、しまちゃ、、おはよ』

志「おはよ。ちょうど朝飯出来たぞ」

『……ぱん、』


朝食は、簡単にロールパンと卵焼き、ウインナー。


志「ん？ パンじゃない方が良かったか？」

『！』

志「チンするタイプのご飯ならあるけど」


ブンブンと首を振るAだが、変わらず顔を顰める。


『食べる…』

志「……」


椅子に座って、パンをジッと見つめる。


志「…嫌いなら嫌いでいいんだぞ。誰も怒る人はいない」

『……いただきます』

志「……」

『……！』


パンをかじった瞬間、驚いた顔をしたA。


志「どうした？」

『おいしい！』

志「……？」

『ふわふわ！』

志「伊吹んとこではパン食べなかったのか？」

『うん』

志「あいつメロンパンメロンパンってうるさいけどな」

『硬いパンしか食べたこと無かったから、ふわふわで美味しい』

志「……そっか」


Aなりに、過去を克服しようとしてるんだろうな。


志「今日は出かけるか」

『え？お勉強は？』

志「少しくらい休め。買い物にでも行くか」

『やったぁ！』


昼前、少し大きめの商業施設にやってきた。


『広ーい！』

志「おい、迷子になるな」


スっと手をつなげば握り返してくる。


志「服でも見てみるか」


そういえば、、


志「Aが持ってる服って、全部伊吹が見つけたやつか？」

『んー、、ほとんど』

志「伊吹の好みっつーことか……」

『？』

志「……これと…これとかどうだ？」

『ん、可愛い！』


俺の好みも気に入ってくれたみたいだ。
ここの施設は色んなのが入っていて、服や小物、Aが食べたがったスイーツ…何でも買った。


『…ねぇ、志摩ちゃん。あの大っきいの何？』

志「ん…観覧車だな」

『かんらんしゃ？』

志「……乗ってみるか？」

『うん！』

志「すみません、大人ふたり」

「はい、カップルさんならペア料金がお得ですよ」

志「へぇ……じゃぁそれで」

「ありがとうございます」


列に並び、間もなく順番が来た。


『ぁ…ぅ、、』

志「……ほら」


動くゴンドラに乗れないでいるAの手を引き載せる。


『わっ……』

志「これでゆっくり上までいって一周するんだ」

『わぁ……すごい、、高くなってく！』

志「……」

伊「Aがさ、色んなこと経験して学んでいってるのが、なんかすげー嬉しいんだよね」


甘やかしすぎじゃないかと思ってたけど、
こうしてみると、あいつの気持ちもよく分かる。


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