【MIU404】野生刑事がみつけた「それ」

16.無くし物 ページ17

◆伊吹



伊「もう16時だな。そろそろ帰るか、その前になにか記念に買っていこう」


売店を見て回っていると、Aが好きそうなクラゲの水時計を見つけた。


伊「お、Aこれ…え、」


振り返るとAがいない。
店の中を一周して探してみるが、いなかった。


伊「…Aっ」


館内を探し回ってみた。
クラゲの水槽かもしれないと行ってみるが、そこにもいなかった。
薄暗い館内、人もまあまあいるから走るに走れない。

速足で歩きまわり、目を凝らして探して10分、、大水槽の前でようやく見つけた。


伊「A！ あ、よかった…」

『あいちゃん…』

伊「心配したじゃん。どうかした？まだ見て回りたかった？」


そう聞けば、フルフルと頭を横に振る。


伊「…じゃ、どうしたの？」

『…くらげ』

伊「ん？クラゲ？まだ見たかった」


再び頭を横に振る。


伊「…」

『あいちゃん、くれたの…』


ふと、Aの鞄を見てみれば、つけていたはずの俺があげたクラゲのストラップがなくなって、チェーンだけがぶら下がっていた。


伊「あ。。俺があげたストラップ落としちゃったんだ。それで探し回ってたの？」

『…ごめんなさい』

伊「謝んなくていいよ。なくしたのは仕方ねーから、ここで別のもの買おう。な？」

『怒らない？』

伊「怒ってねーよ。むしろ探してくれてありがとう」


そういうと、なぜかAは首を傾げた。


伊「じゃ、閉まる前にAの好きなクラゲ見に行こう！」


Aの手を引いて、最後にクラゲを見て売店に寄ると、
クラゲのストラップとクッション、Aが気に入ってくれた水時計も買って帰った。

帰りの電車では、Aはかなり楽しかったのか、ずっと楽しそうにしゃべっていた。
3駅ほど過ぎたころ、肩にグッと重みがかかった。見れば寝落ちしているA。


伊「喜んでくれたみてーでよかった」


Aにとって、すべてが初めての世界。
これからは俺がいろんな楽しいこと教えてやりたい。


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