【MIU404】野生刑事がみつけた「それ」

13.伊吹家 ページ14

◆伊吹



伊「よーし。荷物は特にないね。それじゃ、レッツゴー！」

『……』


Aの退院の日、任務終わりにそのまま迎えに来た。

警察病院から少し歩いたところに俺が住む官舎があるのだが……


伊「A〜、一旦帰ろう？」

『あいちゃん！あれは？』

伊「普通のお店だよ」

『あいちゃん！あれ！』

伊「自転車」


Aは目につくもの全てに反応を示す。
無理もない。Aにとっては全てが初めてだから。


『あいちゃんあれ！』

伊「あ、ストップ！」

『！』


道路に飛び出すところを手を掴んで引き戻した。


伊「ダメだよ飛び出したら！ ちゃんと横断歩道渡ることっ」

『ご、ごめん……なさ、ぃ』

伊「……ぁ、」


小さな震えた声で『ごめんなさい』と繰り返すA。
やってしまった……。Aにとって知らないのは当然だ。
でも、危ないことはちゃんとダメって言わないと…


伊「怒ってないよ。でも道路は危ないからね、ちゃんと横断歩道渡ること」

『……』


それからは、Aの手をしっかり握って手を繋いで帰宅。


伊「狭いけど好きに使ってー」

『……』


部屋をキョロキョロ見回すA。


伊「そんなに見回すほど何も無いよ」

『いろいろある』

伊「そう？ 何でも好きに見ていいよ」

『あいちゃん、これ！』

伊「それは時計」

『あいちゃんこれ！』

伊「雑誌」

『…あいちゃん、これ』

伊「鏡だよ」

『あいちゃん！』


鏡に映る俺を嬉しそうに呼ぶ。


伊「そ、Aも写ってる」

『……』


マジマジと鏡に映る自分を見つめるA。
病院では自分って認識してなかったのかな……？


伊「……そうだ！ A、出かけよう」

『お出かけ？』

伊「うんうん！」



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