【MIU404】野生刑事がみつけた「それ」

01.きれいな世界 ページ2

◆No side



暗い6畳の部屋。

部屋にある小さな置き時計は2時を指していた。


大きな棚で意図的に塞がれている窓の隙間からは

日差しが差し込んでいることからまだ日中だとわかる。


「―！」


隣の部屋からひとり、喚き散らす男の声。

耳をふさいでも聞こえるその声。


『うるさい…』


イラつきと恐怖。

この後のことは安易に想像できた。

バンッと開けられた扉から現れた男は少女の元に歩み寄り手を上げた。


『っ…！』


痛みにジッと耐える。









体中の痛みで彼女の意識もハッキリしない。

外はもう暗く部屋は静かだった。

人の気配もなくゆっくりと体を起こす。


『…』


恐る恐るドアノブに手をかけると扉が開いた。


『っ…』


鍵が開いてる。

いつもは部屋の外から南京錠で施錠されている。

ゆっくりと扉を開くと、電気はついておらず、真っ暗だった。

数年ぶりに見る自分の部屋以外の家の中。

ゴミが溜まり、人が生活できるようなスペースは見当たらない程の劣悪な環境だった。

忍び足で部屋を突っ切り玄関までたどり着くと勢いよくドアを開けて

持てる力の限り全力で走った。



『…きれい』


はじめて見た

外の世界──……


*

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