【MIU404】 善 と 悪 - 善から悪へ -

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◆Aside



― 久「なんで逃げへんの？」


帰宅後、ソファーに寝転び考えた。


『…なんでだろう』


自分でもわからない。


よくよく考えて見れば、逃げるチャンスなんかいくらでもあった。


久住さんも24時間監視してるわけじゃない。

寝ているときでも
今、お風呂に入ってるときでも
逃げるチャンスはある。


玄関だって窓だって、特殊な作りじゃないから
鍵を開けてノブを捻れば外に出られる。


『…なんで逃げないんだろう』


ここに来たときから不思議と、「逃げたい」と言う気持ちが無かった。

ここを出れば辰井組にまた捕まるかもしれないから
確実に自由が手に入るというわけではない。

だからといって、ここにいれば安全というわけでもない。

なのに…


久「Aー、風呂入らんの？なんか考え事か？」

『ぁ…って、なんで上着てないんですか』

久「暑いやん」


いつもは着てるくせに。


久「で、何考えてたん？」

『なんでも無いです。お風呂…っ！』


ソファーから立とうとしたところ、腕を捕まれ引き戻された。


『…』

久「そういや、まだやったな」

『…え』

久「お礼」


― 久「怪我治ったらお返しはしてもらうで。体でな」


『っ…』


久住さんはいつものようにニコニコしたまま服に手をかけた。


『…っ、、』

久「…」


軽く唇が触れた。


『…』

久「抵抗せんと、ほんまに襲うで？」

『…ぇ』

久「それとも期待したん？」

『違うっ』

久「はははっ…まだ怪我も完治しとらんし、今日はキスだけで許したる。はよ風呂入ってき」


そう言って、久住さんは冷蔵庫に向かい水を飲んだ。
それと同時に私も逃げるようにお風呂場に向かった。


『…』


ダメだ…。

なんでドキドキしてんの。

まだ信用できない人なのに…

嫌じゃない、って思った。


『…最低、』


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