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クリスマス、お正月と淡々と日々は過ぎた。
ここに来て約一年、
ここにいたい気持ちと、お姉ちゃんのことが頭を回る。
久「A。難しい顔して、何考えてん」
後ろからギュッと抱きついてくる彼に笑いかける。
『…なんでもないです。包丁使ってるから危ないよ』
久「Aおらんと退屈やねん」
久「今日はなに?」
『寒いので、ポトフでも』
久「ええなぁ」
注意しても離れようとしない久住さん。
久「A」
『うん?』
久「…」
『どうしました。久住さん』
久「んーん…。ずっと俺の傍おってな」
『…もちろんですよ』
ここに来て、何度このやり取りをしたか。
だけど最近はよく口にする。
ご飯を食べてお風呂も済ませて
ベッドに入ってのんびりと映画を見ていた。
途中でテレビを消す久住さん。
『…久住さん?』
久「…」
ジッと見つめられ、逸らすことが出来ないまま唇が重なった。
抱かれる ─
久住さんは、最近よく求めてくる。
嫌ではない。
だけど、なんかモヤモヤする…。
翌朝、朝食を作ってると久住さんが起きてきた。
『おはようございます。久住さん』
久「おはよぉ」
近くにくると、軽くキスを落とす。
毎朝のルーティン。
ご飯を食べると久住さんは寝室に戻り、数分で出たきた彼は着替えていた。
『…久住さん、どこかに、、』
久「A。今日なぁエトリさんに会うことになってんねん」
『エトリ…』
申し訳なさそうに眉を下げる。
久「ん。やから今日は連れて行かれへんねん。ひとりで留守番できるか?」
『…ん、』
俯き曖昧な返事をすると、久住さんは困ったように笑い頭を撫でてくれた。
久「安心し、ここは俺とAしか知らん場所や。誰も訪ねて来ーへんし、エトリも辰井組の奴らも知らん」
『うん…』
未だ不安げな私をギュゥっと抱きしめてくれた。
久「お前は俺が守ったる。ここにおれば大丈夫や」
『…』
抱きしめ返すように背中に手を回す。
久「ええか、ひとりで外出たらあかんで」
『うん』
何度も何度もその言葉を言われた。
久「帰りはわからんけど、なるべく早く帰る」
まるで長い別れのように抱きしめあって別れを惜しむ。
久「…ほな、もう行かんと」
『…』
玄関に向かう彼を追いかけて見送る。
『…気をつけて』
久「ん。…大丈夫やから」
彼の服を軽く引っ張り背伸びをしてキスをした。
久「…そんな心配せんでええよ」
『…』
久「ほなな」
*
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向日葵 - お忙しい中、更新して頂きありがとうございます!ゆっくりとしたペースで大丈夫ですので、続きが読めるのを楽しみにしております。ご無理をされずお体に気をつけて下さい! (2020年10月19日 0時) (レス) id: 329b271bd3 (このIDを非表示/違反報告)
さめ(プロフ) - あさん» ご報告ありがとうございます!運営さんにも問い合わせて、引き続き調べてみますね。お手数おかけして申し訳ございません。 (2020年10月1日 1時) (レス) id: 91f99e01e1 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 何度もスミマセン。何度か試しましたが、名前を設定しても何ヶ所かのみ『明日香』になります。宜しくお願いします。 (2020年9月30日 21時) (レス) id: aa8c557772 (このIDを非表示/違反報告)
さめ(プロフ) - 依子さん» ご報告ありがとうございます!引き続き調べてみます。最後まで楽しんでください! (2020年9月30日 21時) (レス) id: 91f99e01e1 (このIDを非表示/違反報告)
依子 - いつも愛読させてもらってます!名前についてなのですが、何も設定せず読んだところ「明日香」という名前になっておりました…!バグとかそういうものなのかわかりませんが、はやく復旧できますように…!応援してます! (2020年9月30日 19時) (レス) id: e50bebed3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まとい | 作成日時:2020年9月12日 13時