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珍しく足取り軽く辰井組の事務所に向かった。
久「どーもぉ」
挨拶すれば目つきの悪い男たちが睨みつけてきた。
「んだてめぇ」
「エトリさんが言ってた若者か」
久「はぁい。例の子、引取に来ました」
「…案内してやれ」
親玉らしき人がひとりの男に目配せして部屋を出た。
案内されたのは通路奥にあった物置部屋。
鍵を開け中を除くと何もない狭い部屋の隅に蹲る例の子。
久「おったおったぁ」
俺の方を見ると、ボーッとした顔から一気に覚醒した。
見える範囲でもかなりの傷があるのがわかる。
久「あーぁ。傷だらけやなぁ」
『っ…』
顔の汚れを拭おうと手を伸ばした時、身体をビクつかせて身を引いた。
久「…大丈夫やで。俺は君を助けに来たんやから」
『…え』
久「エトリさんと話して、俺が君を引き取る」
『…誰』
久「俺は、くずみ。"久しい" に "住む" で、久住や」
『くず、み…』
久「ほら、行くで」
笑顔で差し出した手を戸惑いながらもAは手をそっと伸ばし、それを握った。
久「ええ子や」
『…』
フラつきなから立ち上がると、汚れた服を隠すように着ていた上着を羽織らせた。
久「ほな行こか」
肩を引き寄せ事務所を出た。
久「今日から一緒に住むんやで」
『…』
タクシーに乗り込んで自宅に向かった。
久「今日から、ここで生活し。いるもんあったらいつでも言ってや。こーてきたる」
『…』
久「この家の中やったら好きに動き回ってええし、好きなことしててええよ」
話しながら寝室から着替えを持ってきた。
未だリビングに立ち尽くすA。
久「…まだ俺の事信じられへん?」
『…いきなり、、一緒に住むって、言われても』
久「ほな、あっこ戻るか?」
『っ…』
そう問えば、全力で拒否してきた。
久「ははっ!安心しぃ、ここは俺以外だーれも知らん」
『…』
久「だーれも知らんから、だーれもこん」
『あの、久住さん…どうして私なんか』
久「ん?…なんで助けたか知りたいん?」
『…はぃ』
久「せやなぁ…一言で言えば、気に入ったからかな」
『え?』
久「なんかほっとかれへんねん。あんた」
『…』
久「ええやろ?ここ居ればなんも不自由はない。エトリさんたちも来ん!」
いまだ不安な顔をするAに着替えを渡した。
久「俺の部屋着やけど我慢してな。怪我治ったら一緒に服見に行こう」
『…』
久「風呂入ってき」
Aの背中を押して風呂場に追いやった。
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向日葵 - お忙しい中、更新して頂きありがとうございます!ゆっくりとしたペースで大丈夫ですので、続きが読めるのを楽しみにしております。ご無理をされずお体に気をつけて下さい! (2020年10月19日 0時) (レス) id: 329b271bd3 (このIDを非表示/違反報告)
さめ(プロフ) - あさん» ご報告ありがとうございます!運営さんにも問い合わせて、引き続き調べてみますね。お手数おかけして申し訳ございません。 (2020年10月1日 1時) (レス) id: 91f99e01e1 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 何度もスミマセン。何度か試しましたが、名前を設定しても何ヶ所かのみ『明日香』になります。宜しくお願いします。 (2020年9月30日 21時) (レス) id: aa8c557772 (このIDを非表示/違反報告)
さめ(プロフ) - 依子さん» ご報告ありがとうございます!引き続き調べてみます。最後まで楽しんでください! (2020年9月30日 21時) (レス) id: 91f99e01e1 (このIDを非表示/違反報告)
依子 - いつも愛読させてもらってます!名前についてなのですが、何も設定せず読んだところ「明日香」という名前になっておりました…!バグとかそういうものなのかわかりませんが、はやく復旧できますように…!応援してます! (2020年9月30日 19時) (レス) id: e50bebed3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まとい | 作成日時:2020年9月12日 13時