37.亀裂 ページ37
『…お兄ちゃん？』
朝、部屋に兄は居なかった。
『帰ってると思ったのに…屋上でそのまま寝たのかな』
あれだけ飲んでれば寝ていてもおかしくはない。
バイトに行く前にビルに行ってみよう。
ゆっくりと身支度をしてビルへ向かった。
『……え、』
着いてすぐ目に飛び込んできたのは、階段のすぐ側で横たわる兄。
すぐに駆け寄って呼びかけてみる。
『お兄ちゃん…お兄ちゃん、お兄ちゃん！！』
揺すっても、揺すっても、返事がない。
『お兄ちゃん…っ、、お兄ちゃ…ん、』
『う…あぁああっ！！』
声を上げて泣いた。
救急車呼ばなきゃ…。110番…。
そんな考えは無くなってしまって、
ただ、兄にしがみついて泣くことしか出来なくなっていた。
その後すぐ、聞き慣れた声がした。
志「香坂…？A！どうした！？何があった！」
一未くんが現れた。
だけど、気にかける余裕なんてなかった。
返事なんて出来なかった。
志「救急車お願いします！男性が倒れており、脈がありません。男性は香坂義孝、自分は志摩一未。どちらも捜査一課の刑事です」
一未くんが通報。
それからすぐ別の刑事さんが来た。
彼はそれまでずっと、背中を摩ってくれていた。
桔「何があったの」
志「何度電話かけても出なくて、様子見に来たんです。そしたら、この状態で…」
桔「…彼女は？」
志「…香坂の、妹のAです」
いくらか落ち着きを取り戻したが、未だ涙を流す私に代わり、一未くんが答えた。
桔「どっちが先に見つけた？」
志「…俺…です」
陣「酒の匂いがする」
志「グレングリアン。スコットランドのウィスキー」
桔「なんで分かるの？」
志「…転落死のように、見えますね」
その時、パトカーのサイレンが聞こえた。
桔「…ここは私が」
陣「志摩、上見に行こう」
志「非常階段で…屋上へはエレベーターは使えません。桔梗さん。Aを、お願いします」
一未くんともう一人の刑事さんは屋上へ向かった。
戻ってくるまで女性刑事さんが側で落ち着かせてくれた。
しばらくして一未くんたちが戻ってきた。
志「A…」
一未くんが触れようとした瞬間、その手を振り払った。
志「っ…」
『…一未くんの、せい…』
志「A」
『一未くんのせいで！お兄ちゃん…っ』
志「…」
その日から、彼とは会うことも、連絡を取ることも無くなった。
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雨 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読んでいて気が付いたのですが...。 38.司法解剖のここの部分 思わず声を上げる。母が肩に手を置いて聡そうとするが気が回らない。 これ正しくは諭そうとするではないんでしょうか？ (2020年9月5日 22時) (
レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
さめ(プロフ) - 雨さん» 訂正しておきました＾＾ (2020年9月5日 19時) (レス) id: 2020bfd487 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - こんばんは(*^^*) 物語読んでいて気が付いたのですが...。 35.恋人のここの部分 その言葉に顔を挙げられずに居ると、グッと近づいて触れる唇。 これ正しくは顔を上げられずにではないんでしょうか？ (2020年9月5日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
澪 - 過去編も見てみたいと思っていたので嬉しいです！楽しみにしています。 (2020年8月4日 0時) (レス) id: 82186f5928 (このIDを非表示/違反報告)
MAYU(プロフ) - 過去編も楽しみにしてます。更新、応援してまーす^^* (2020年8月3日 20時) (レス) id: 3e2da64acc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まとい
| 作成日時：2020年8月3日 1時
