彼女の残した爪痕 (ページ3)

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「こんばんは」

「ほんとに来てくれたんですか？」

「約束やろ？今日は飯済んだやろうから、明日の朝でも食べたらええわ」

「開けてみて良い？」

「良く解らへんから、女将さんにお任せで頼んだから、俺も何入ってるか解らへんねん」

「ジャーン！あっ私の大好物ばっかりぃ・・・嬉しいなぁ」

「つまみやんか(笑)酒飲みたくなるなぁ」

「厚焼き玉子だけつまみ食いしちゃう」

Aはいたずらっ子みたいな表情で、玉子を指で摘むと口へ急いで運んだ

慌てて食べたから、ゴホゴホッとむせる

「大丈夫か？無理すなよ」

「大丈夫(笑)我慢してたから慌てちゃった」

そう言うと舌をペロっと出して笑った。

何とも言えない気持ちになった・・・

「もう寝る時間やろ？又顔出すわな」

「本当にありがとう、女将さんと大将にも宜しく伝えてね」

「解った、ゆうとくわ、おやすみぃー」

「おやすみなさい」

早う良くなったらええのに・・・何か気になんねんな・・・Aの事

それからは昼間時間が出来たら病室へ足を運んだ。いつ行ってもお見舞いの人の影は無く、1人で本を読んでいた。

「A体調どう？」

「章大、いつもありがとう。症状落ち着いてきたから、来週の月曜日検査結果を見て良かったら退院だってー」

「良かったやん、おめでとう」

「まだ解らないけどね(笑)」

「そうや・・・連絡先教えといて、又店で一緒に飲もうや」

「うん、これ私の連絡先ねっ・・・ピッ」

「ありがとう、体調良かったら屋上行くか？」

「そうだね、今日は散歩してないから行こうか？」

「上着着て行き、風強かったで」

「よし、準備OK。行こう章大」

俺は毎度の指定席の喫煙所へ、Aはいつもの花壇の手入れ、あれAの仕事違うのにな(笑)

少し目を離した隙にベンチの横で倒れ込んでいる。

俺は慌てて駆け寄った

「A？大丈夫か？」

激しく咳き込んで居たので急いで病室へ運び、ナースコールを押す

「どうしました？」

「すんません、少し屋上に居ただけなんですけど、こんなに咳き込んで」

「はい解りました、少し処置しますので出ていて貰えますか？」

俺は病室を出され、待合室で待機していた。少し外に出ただけやのに・・・どこが退院やねん

俺が無理させたんかな・・・