【第五人格】再会は何処にて。

7話 ページ8

ーールカを振り向かせると言ったあの日から、

私の中で大事に眠らせていた恋がまた動き始めた。



ある日のゲーム後、同じゲートから出た

ウィリアムと談笑しながら荘園までの道を歩いていた。


　「A、ほんとよくやるよなぁ」


ふとルカの名前が話題にあがった時、ウィリアムがこう言った。


日々あの手この手でルカに近づき、アタックする私を見て

荘園のみんなは今ウィリアムが言ったようなことを口々に言うのだ。


　「だってルカに振り向いてもらうって、頑張るって決めたもん！

　 それに、何であろうとルカと話せるのは嬉しいの！」


　「Aのそうゆうとこ、スゲーよな……。

　 俺は応援してるぜ！はやく付き合えるといいな！」


そう言うとウィリアムはとびきり爽やかな笑顔を見せてくれた。




玄関の扉を開け中に入ると、そのまま２人で医務室へと向かう。


　「でもさ……見てる感じだと兄と妹感が否めないよな、ふたり」


医務室へ向かう道中ぽつりとウィリアムが呟いた。


　「私もそう思う……。

　 どうしたらいいと思う！？」


確かにルカが私を思い出してからは、避けられることも

冷たくあしらわれることもなくなった。


だけどルカが私にとる態度は、妹に接する兄そのもので、

10年前のあの頃と何も変わってない。


別にそれはそれでいいのだけど、それでは前には進めない。

私はルカにひとりの女性として、大人として見てもらわなければ駄目なのだ。



どうしたら女性として見てもらえるかな！？と食い気味に尋ねると

その勢いにウィリアムは思わず後ずさった。


　「俺に聞かれても……！

　 うーん、そうだな……いっそ色仕掛けでもやってみ」



　「ふたりともお疲れさま。随分と楽しそうだな？」



ウィリアムが私の質問に答えていると、突然後ろからルカの声が聞こえた。


　「ルカ……！」


　「やっべ……」


パァッと顔を輝かせる私と、顔を青ざめるウィリアム。


　「エリス君、Aに変なことを吹き込むのはよしてくれないか？」


ルカは作りもののような笑顔を浮かべて、

ぽん、とウィリアムの肩に手をおいた。


　「お、おう……悪りぃ。

　 じゃあ俺、先に医務室行くわ！」


逃げるようにそそくさとウィリアムはその場を後にした。




ウィリアムの背中が廊下の遠くの方に消えていくと、

ルカの顔からさっきまでの作りもののような笑顔が消えた。




　

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