【第五人格】再会は何処にて。

27話 ページ28

あの日のルカは、全然知らない男の人みたいだった。


今まで、ルカと一緒にいて男女がどうこうとかあまり考えたことがなかった。

ふたりきりだとたくさん話せて嬉しいな、くらいで。


私はルカに女の子として見てもらいたい。

ずっとそう思っていたのに、いざ女として見られるとどうしていいか分からなくて。


顔を合わせればあの日のことを思い出して、恥ずかしくなって、

最近はあまり会話という会話が出来ていなかった。


彼の顔を見るともう、恥ずかしくて意識してどうしようもないのだ。


　「で？ルカ君と目も合わせられなくなったと」


　「うん……助けてイライ！どうしたらいい？

　 もう私何が何だか分からない！」


ルカと上手く話せなくなって困った私はイライに相談した。

婚約者のいる彼なら、何かいいアドバイスをくれると信じて。


　「難しいなぁ……。ルカ君といるとどんな感じ？

　 もう少し具体的に言ってくれるかい？」


　「そうだなぁ…顔見ただけでドキドキして、一緒にいると落ち着かなくて……。

　 前みたいにルカと話せなくなっちゃって……」


　「……前みたいに話せない、か」


顎に手を置き、考え込む仕草を取るイライ。


　「きっとAはルカ君に恋をしたんじゃないかな」


ーー恋？


その発言に私の頭の中は疑問符でいっぱいになった。


だって私はずっと前からルカのことが好きだった。

なのにどうして今更恋をした、だなんてイライは言うのだろう？

　
　「恋……？でも私、前からルカのことが好きだったよ？」


　「確かにそうかもしれない。

　 でも、さっき君が言った状況は恋している人の症状なんだ」


　「症状……」


症状なんてまるで病気みたいな言い方。

あ、でも恋の病、確かそんな言葉があったかな。


　「君は今やっと、ルカ君に恋をして、好きになっていってる。

　 僕にはそう見えるけどね」


ーーイライの言う通りかもしれない。


意識して話せない、恥ずかしくて目も合わせられない。

それなのにルカのことを考えると胸がキュンとして、ふわふわして。


ルカがここに来た当初は一緒にいてドキドキすることはあった。

だけどそれは親しい人と久々に再会した時独特のもので、今とは違う。


　「……そうかも。

　 でも今までは恋じゃなかったのかぁ……」


　「うーん、恋は恋だけど、憧れに近かったんじゃない？」


　「それ、同じようなことルカにも言われたな……」

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