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Aのことが少し気になったのはここ最近のことだった。
以前よりなにかに深く考え込むようになって、
表情があまり動かなくなって。
少しだけ不安になった。
けどAの仕事場をふと見てみると仕事で使う画材やその他諸々が綺麗に片付けられてるのが目に入った。
まるでもう、使わないかのように。
普段の彼女ならありえない事だった。
時間さえあれば仕事とは関係ない絵を描いていたり
今は自分の描いた絵本がテレビで放送するという大きな仕事だってあると言っていたのに。
数日後に放映された彼女の絵本のスタッフロールの欄に
ファンAの文字は、一つもなかった。
僕が絵本の内容を褒めるとすこしだけ切なそうな顔をして。
たまたま彼女の部屋に入った時に、机の上にある封筒が目に入った。
どこか、病院の封筒だった。
悪いと思いながらも中身を開けると、
脳の断面図の写真と、診断結果が書かれた紙が入っていた。
"診断結果:若年性アルツハイマー型認知症"
彼女が抱えてる不安を知った瞬間だった。
味付けが変わったり、物をよく失くしたり。
普段の彼女ならありえないところでイライラして僕に当たったり。
日付が分からなくなったり。
思い当たる節はいくつだってあった。
その小さい体に一体どれだけの不安や恐怖を抱えているのだろうか。
僕が彼女を支えてあげるのに。
Aが僕に病気のことを話すことはなかった。
Aがデートしたいと言った時は嬉しかった。
一生忘れられないような所に連れていきたい。
そう思ったのに、彼女が行きたいと言ったのは
僕達が会ったあのホテルだった。
いやな予感がした。彼女は僕のために僕から離れようとしているんじゃないかと。
何も言わずに、自分だけが苦しんで僕の前から姿を消そうとしているんじゃないかと。
やっぱり僕の予感は当たっていたようで、
彼女はこのホテルでの出来事を自分を確かめるように記憶を辿った。
「結婚式も、ここで挙げようよ。」
Aが困ることを分かって言った。
それでも僕は、これからの人生で君のいない未来は想像できない。
「来年の夏。約束して。」
半ば、強引に。
泣かないでよ。
僕から離れようとしないで。
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彩心(プロフ) - るいさん» こんばんは。返信遅れてしまいすみません…大大スランプに陥ってしばらく小説から離れていました。そう言って頂けると本当に元気が出ます笑 頑張って続き書きますね(^-^) コメントありがとうございます！これからも見ていただけると嬉しいです(T_T) (2021年5月11日 1時) (
レス) id: 96b719c4dd (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - お話の雰囲気とても好きです！続きが気になります…！ (2021年4月14日 9時) (レス) id: d5dce8822e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩心 | 作成日時：2021年3月23日 20時
