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あの日も日が沈みかけで、私は日没を見ながら絵本を書いていた。






そんな時に風が吹いて、私の足元に無くしていたはずの花の栞が落ちた。






まだ、大丈夫。まだ、憶えてる。





私は記憶のピースを拾い集めるようにして、あの夏のことを思い出そうとしていた。






彼もまた、懐かしむように海を見ては思い出に浸ってる。






「…ジンが私にプロポーズしたのもここだったよね。」





「うわ…ちょっと、なんか、恥ずかしいね」






ジンは笑いながらそう言った。





でもすごく楽しそうで、嬉しそうで。





幸せそうだった。






「結婚式も、ここで挙げようよ。」






「………え?」





今日1日だけは、笑顔でいよう。





そうしなきゃいけなかったのに、彼のその一言でそれが崩されていく。





「来年の夏。僕と約束して。」





ジンは私の手を固く握ってそう言った。





それは私にとっては果たすことの出来ない約束だった。





初めて会った時は、通り魔から救ってくれて、王子様みたいだった。





もう二度と会うことは無いと思っていた。





だけどもう一度会った時、運命ってあるんだな、と他人事のように思った。





一夜を2人で明かした時は幸せだった。





何度も抱きしめあって、何度もキスをした。





不思議と涙が溢れてきて、そんな姿は見せたくなかったけれど






これが最後なら、と顔を上げて彼の顔を忘れないようにと見るけれど。





私のこぼれる涙を指で優しく拭ってくれる彼の笑顔に






何度恋したか、分からない。







私の最後はもう決まってる。







だけど、あなただけは巻き込みたくない。







あなただけは私を忘れて、幸せになって欲しい。







「どうして泣くの?」







彼と一緒にいることができてどれほど幸せだったか、分からない。








私はきっと来世でもあなたを好きになる。





あなたを愛すことになる。






だけど、今世では、私じゃない誰かと。






あなたを一生愛してくれて、憶えてくれる素敵な誰かと






どうか結ばれて欲しい。









「…………ジン、」




あなたの幸せを誰よりも願ってる。




あなただけは、忘れない。





____本当に、愛してる。






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彩心(プロフ) - るいさん» こんばんは。返信遅れてしまいすみません…大大スランプに陥ってしばらく小説から離れていました。そう言って頂けると本当に元気が出ます笑 頑張って続き書きますね(^-^) コメントありがとうございます!これからも見ていただけると嬉しいです(T_T) (2021年5月11日 1時) (レス) id: 96b719c4dd (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - お話の雰囲気とても好きです!続きが気になります…! (2021年4月14日 9時) (レス) id: d5dce8822e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩心 | 作成日時:2021年3月23日 20時

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