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「オンニ、お願いがあるんです。」
「私、絵本作家辞めます。」
それをオンニに伝えるのは、申し訳なかった。
今まで、どれだけこの人にお世話になったか分からない。
今だって絵本のテレビ放送の大きな仕事だってある。
「何かあったのね。」
「…ふふっ、私、認知症になったみたいです！
おかしいですよね、オンニより若いのに。」
何かあったとすぐに察してくれるオンニの優しさが心が痛くて笑って取り繕わないと柄にも無く泣き喚いてしまいそうだった。
「文字だって書けなくなるし、絵の書き方も分からなくなる。いつかオンニの事だって……」
いつか、忘れてしまう。
その事実は曲げられないこと。
どんなに忘れたくなくても、拒んでも私の頭の中から消えていく。
「本当に、それでいいのね。」
「…はい。」
うそだ。本当は辞めたくない。
このままずっとオンニといい作品を描き続けたかった。
足が無くなっても、耳が聞こえなくなっても絵本は描けるのに、
どうしてアルツハイマーになんか。
「いいわ。辞めたいなら辞めなさい。
私はAが辞められるとは思えないけれど。」
「…え？」
「あなたのことだからきっとまた描きたくなるわ。」
「…でも私は、全部忘れちゃうから……」
「私はここであなたを待ってる。忘れないで。
描きたくなったら、描けるように。」
"忘れないで"。
その言葉を私に向けて言うのが、
どれだけ不確かなものか分からない。
それでもオンニは私のことを信じてくれている。
そんな人たちのことを、私は忘れたくない。
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彩心(プロフ) - るいさん» こんばんは。返信遅れてしまいすみません…大大スランプに陥ってしばらく小説から離れていました。そう言って頂けると本当に元気が出ます笑 頑張って続き書きますね(^-^) コメントありがとうございます！これからも見ていただけると嬉しいです(T_T) (2021年5月11日 1時) (
レス) id: 96b719c4dd (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - お話の雰囲気とても好きです！続きが気になります…！ (2021年4月14日 9時) (レス) id: d5dce8822e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩心 | 作成日時：2021年3月23日 20時
