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「…どうして僕の父が、」



「婚約してたの。でもあんたの父親は私を捨てた。
自分の会社のために、政略結婚を選んだ。」




カンチョユンが父さんの元婚約者…?

政略結婚を反対していた父が、政略結婚していた…?



初めて聞く事実に体が固まる。


「事業も、婚約もスムーズにやるあんたが憎かった。
私は今までずっと苦しんでいたのに……彼のこと、愛してたのに!」


カンチョユンは見たことも無いほど涙でぐちゃぐちゃになった顔で叫んだ。


正直に言って、僕は言葉が出なかった。
父にそんな過去があるなんて今知ったし
僕はどうすればいいのか、分からない。




「ねぇ、だからと言って元婚約者の息子にこんな仕打ちなんて酷いわ。」


パイプ椅子に縛り付けられたAは冷静にそう言った。


「…何も知らないくせに、」


「何も知らない息子にこんなことするのが酷いって言ってるの、分からないの?」




Aがそう言うとカンチョユンは黙り込んで項垂れた。



「人は人を捨てたりしない。自分が自分を捨てることしかできない。
あなたは28年間も憎しみだけを持って自分を捨てたのね。
かわいそうなひと。」



その言葉にカンチョユンはへなへなと座り込んでしまった。



それと同時に警察のサイレンの音が遠くの方から聞こえてくる。



ナムジュンから電話がかかってきていて、かけ直すと3コール目で出た。



「社長、無事ですか?」



「あぁ…うん、図書館の方は?」



「それが、爆発物は一切ないと連絡がありました。」



「…そう、よかった…。」




カンチョユンが持っていたナイフも刃先が丸くなっていて殺傷性の低いナイフだった。


爆発物もなかったから彼女は最初からAを殺す気でもなかったし図書館を爆破するつもりでもなかった。


ただただ、僕たちが憎かった。



それだけだった。




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彩心(プロフ) - るいさん» こんばんは。返信遅れてしまいすみません…大大スランプに陥ってしばらく小説から離れていました。そう言って頂けると本当に元気が出ます笑 頑張って続き書きますね(^-^) コメントありがとうございます!これからも見ていただけると嬉しいです(T_T) (2021年5月11日 1時) (レス) id: 96b719c4dd (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - お話の雰囲気とても好きです!続きが気になります…! (2021年4月14日 9時) (レス) id: d5dce8822e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩心 | 作成日時:2021年3月23日 20時

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