【悪魔執事と黒い猫】月の愛し子は悪魔執事を救う7 (ページ27)

今日:6 hit、昨日:26 hit、合計:1,946 hit

＊ページ27

ｽﾋﾟｶ『嘘……だろ？』

ﾈﾌﾞﾗ『嘘じゃねぇよ。……お前のこと、ずっと鬱陶しかったんだ！！』

ｽﾋﾟｶ「自然と、涙が溢れてきました。彼の赤い瞳が私のことを睨んでいました。」

ｽﾋﾟｶ『お前なんて……大嫌いだ！！』
子供『スピカ！？』
子供『バカ！！』

ｽﾋﾟｶ「私は、逃げ出しました。よく、彼が連れて行ってくれた星がよく見える川へといきました。」

＊＊＊

ｽﾋﾟｶ『俺……お前を信じていたのに……』

ｽﾋﾟｶ「泣いていると、どこからか声がしました。」

『スピカ、キミのせいじゃなければ彼のせいでもないよ。』

ｽﾋﾟｶ「そこには、不思議な中性的な人物がいました。」

ｽﾋﾟｶ『誰？』
『私はムネモシュネ。キミの能力さ。』

ｽﾋﾟｶ「能力の存在自体は本などで学びました。ですが、実物とは会ったことがありませんでした。

ムネモシュネは、私に“彼”の記憶を見せました。

そこには、悪ガキどもが私の本に封筒を入れているところ、それを見てネブラは私のためだけに悪役(ヴィラン)になったこと……。

ｽﾋﾟｶ「私は、彼と仲直りがしたかった。だから、孤児院へ戻った。……でも、もう遅かった。」

ｽﾋﾟｶ『……え、？』

ｽﾋﾟｶ「そこで見たものは……私のことを親友のように……家族のように接してくれたネブラが、無惨な姿で倒れ込んでいるところでした。

まるで、映画のワンシーンのような、時が止まった感覚があり、喉がジワジワ焼けるように痛みました。」

ｽﾋﾟｶ『ネブラ！！起きろよ！！頼む！！起きてくれ！！』

ｽﾋﾟｶ「私は絶叫しました。……私のせいでネブラは死んだ。私のせいで、犠牲になってしまった。夢であって欲しかった。

私はその後、孤児院を抜け出して貧困街で暮らしました。」

ﾍﾞﾙ「スピカにこんな過去が……。」
ﾘﾝﾀﾞ「辛い……」

ｽﾋﾟｶ「ですが、私の過去は辛いものだけではありません。だって……」

すると、スピカは私の方を見ながら微笑む。
思わず私は自分に指を指す。するとスピカは静かに頷く。

ｽﾋﾟｶ「……私が14歳になったときです。とある少年少女が貧困街に迷い込んできました。」