accomplice ページ3
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薄々感じてはいた。関係を持った女が居そうだなあ、と。証拠などはなかったが、勘が働いた。
それを察知しながらも私は放っておいたのだ。
なぜなら、私にもそういうことがあったから。そして、彼も同じように反応してるのではないか。
「もう今日みたいなことはせんよ」
彼もしゃがみ、困り顔をした。
「今日みたいなことって？彼女が予定よりも早く帰って来ることなんか知らずに部屋で春ちゃんとえっちすること？」
「……こんなことになるなんて思わんかったんよ。Aを失うと思うと心が痛む。俺は大馬鹿野郎や」
当たり前だ。大馬鹿の中でも桁外れの大馬鹿野郎だ。
「大丈夫か」
「大丈夫じゃない…別れる」
「Aが泣いとる…」
「当たり前でしょ！彼氏の浮気現場を目撃したのよ！」
「そうか、そんなに悲しいか」
「誰のせいだと思ってるの」
「やっぱ俺はAが好きや。一番好き」
「春は？」
「春よりも秋や」
「紫耀、他の女ともえっちしてるでしょ」
「してへんよ」
「もういいよ、隠さなくて。この際だから言っちゃいなよ」
「あるで。でも、Aもやろ？」
「…あるよ」
「やっぱな。ひっでえ女」
「紫耀に言われたくないよ。私は他の男とそういうことをしても常に一度限りだった。終わったあとは、紫耀！ごめんねごめんねー！っていつだって心の中で謝ってたんだから。半年も続くような関係は間違っても築かない。なんでか分かる？」
「なんで？」
「好きだからでしょ」
「誰を？」
「紫耀のことを」
紫耀は私は抱き寄せた。
私は脱力したまま涙を流す。こういう時に限って、この男がたまらなく好きだと思ってしまう。
「俺、Aとは別れたくない」
「ふざけんな、別れる」
紫耀は何も発さないまま、腕の力を強めた。
「今年の秋もモミジ見にいこな」
モミジが咲き誇るのに2ヶ月もあるが、私達はその頃もこんな風に抱き合ってるんだろうか。
だとしたら私はとことん学ばない、愚かな女だ。
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作者名：ももきち | 作成日時：2017年2月13日 15時
