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「…？いくらなんでも、全部決めきるのは鈴鳴でも…」
はてなマークがみんなの頭の上に見える。あ、これ、話がちょっと噛み合ってないかも。
『すみません、言い方が悪かったですね。正確に言うと、俺が跳んで、“空中で安定した体制を保って、かつ着地後バランスを崩さず転倒しない確率”があんま高くなくて。
割合でいうと、10本に3,4本は体制が悪くて打てないか、着地後に転びます』
そういうと、皆は納得したようだった。監督もまぁ、そうだろうなとうなずく。
「説明聞いた感じだと、その跳び方じゃ頭も体力も精神も、普通に跳ぶより何倍も使う。今まで+αでやるなら、鈴鳴の仕事が増えすぎる。そこもうまく考えなきゃな」
たしかに。正直このままだと俺の体力だけでなく、他の部員に迷惑がかかる。そこまで頭を回さなかった自分が情けなくなる。
『…すみません。もっと考えるべきでした』
「あやまんなよ、鈴鳴らしくねぇぞ！烏野に新たな攻めの手段ができたんだぜ」
良いことじゃねぇか、と笑う龍の言葉が心に染みる。
「そのとおりだ。手は増えるってことは勝ち筋が増えることに繋がってる。あと数日、できることやり切るぞ！」
「「「おす！！！」」」
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とりあえず俺は残りの日数を、影山とスガさんのトスを打てるようになることに力を入れた。赤葦君とできていたから、その時の感覚を思い出して。
正直できるか不安だったが、そんな心配はいらなかった。
「うぉ〜すげぇな！初めて鈴鳴のスパイク見たけどちゃんと決まってんじゃん！」
『よっ…と、ありがとうございます』
バランスを崩さないようにしっかり踏みとどまる。スガさんに褒められるのは単純に嬉しい。影山がパタパタと駆け寄ってくる。
「今のどうだったすか」
『もう少し速くてもいいかな。あとちょっと低いかも』
「うっす！！」
積極的にコミュニケーションを取りに来るのを見て、思わず感心する。
これでも最初はまるで“王様”だったらしい。その時は俺はいなかったが、大地さん曰くズラが絡んだ事件もあったとか。
でも今の影山に、そんな面影は一切ない。時々暴言が出るけど。
ここからどこまで合わせられるか。
春高予選まで、あと4日。
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作者名：あなくま | 作成日時：2023年7月2日 15時
