54 ページ4
長かった合宿も終わり、烏野に戻ってきた。
それぞれが自分のスキルを磨いている。
春高予選も近づいて、より気合が入っているのが感じられる、ある日の放課後。
部活終わり、自主練習を始める二人に声をかけた。
『影山、スガさん。少しいいですか？』
「？はい！なんすか！？」
「おーどうした、なんかあった？」
キョトンとした顔で返事をする二人。
ちょっと緊張するな。
息を吸って、大きく吐いて。まっすぐ二人を見て話す。
『俺に、トスを上げてもらえませんか』
「え？…もちろんいいけど…」
でも、とつぶやく。スガさんが困惑してるのがわかる。
『実は合宿のとき、黒尾さんたちと練習したんです。その時に何度かスパイクを決めることができるようになっt「「はぁ！！！？？」」………て……』
途中でぶった切られた言葉。二人のはもった声が体育館に響いた。
「え！？どういうこと！？ていうか、なんで言ってくれなかったの！！？」
「じゃあ鈴鳴さん、飛べるってことすか！？」
『あーえっと、言わなかったのは成功するかその時はまだ分かんなかったというか、嬉しくてちょっと忘れてたというか…』
「はああぁ！！？てことは大地たちにもまだ言ってないべ！！」
『あ、そ、そう…すね……』
今までになく必死の剣幕で叫ぶスガさん。こんなの見たことない(俺のせいだけど)。
影山に至っては過程をぶっ飛ばして早くトス上げさせてくださいと叫んでくる。
そんな大騒ぎの俺達を見て、大地さんや監督も集まってきた。
やっぱりちゃんと説明しとけばよかった…と後悔したが、時すでに遅し。
それから同じことをみんなにも説明。口をあんぐりと開けたり理解が追いつかなくてショートしたりと、案の定叫ばれて怒られた。
はあぁぁ…と大きくため息を付いた監督。
「事情は大体分かった…とりあえず今回は済んだことだから良いってことにする…
が！！次からは絶対報告！！ほうれんそう忘れんな！！！」
『はい…すみませんでした…』
カッと指差し怒鳴られる。こってり絞られた。次からは絶対報告しようと心に誓う。
「まあ、また跳べるようになったってのはお前にとってもチームにとっても嬉しい報告だ。戦略の幅も広がるしな」
『そうですね。でも、まだスパイクの成功率が安定してなくて…』
まだまだなんですよね、といえば、東峰さんが首を傾げる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 548人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あなくま | 作成日時：2023年7月2日 15時
