ちょっとだけ【QK】

食中毒には気を付けて　izw ページ9

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まずい、やらかした。




朝起きたときから感じる腹部の痛みに知らんぷりをしてオフィスに来たところ、治るどころか悪化している。




今はみんなパソコンに向かい、各々作業をしている。
記事を仕上げる者、作問する者、動画編集をする者。集中して取り組んでいて、誰かに声をかけられるような状況ではない。




だけど腹痛がひどくて普通の姿勢でいることができない。前かがみになって、机に突っ伏すような体制になってしまう。




｢伊沢さん？ どうしましたか？｣




そんな俺に気づいて、山本が声をかけてくれた。



『いや…ちょっと腹痛い…』




もうどうしようもないので正直に話す。




｢えっ、大丈夫ですか！？ なにか暖かいもの持ってきますね｣

すぐに立ち上がるとキッチンに向かう。そしてしばらくしてから温かい飲み物と湯タンポを抱えて帰ってきた。




｢これ、飲めそうだったら飲んでください。 あと、湯タンポもありました｣

『ありがとう…』




ソファどうにか移動して、丸くなってうずくまる。




『なにか変なもの食べたっけ…』

｢思い当たるものありますか？｣





昨日の記憶を探るが、思い当たるものは特にない。というよりも、痛すぎて考えに集中できない。




『ちょっと、トイレいってくる…』




いくらか楽になるかと思い、お腹を抱えてゆっくり動く。

｢何かあったら叫んでくだいね？｣




おろおろしたようすで声をかけてくれる。だけど、まさかそんなひどいことにはならないだろう。




そんな考えが甘かったことに気づくのは、もう少しあとのことだった。

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