ちょっとだけ【QK】

閉所恐怖症　fkr ページ17

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日曜日の昼過ぎ。




『よいしょっと…』




抱えていた段ボールを床に下ろす。




週末なのでオフィスに来ている人も少なく、いたとしても静かにパソコンと向き合っていることが多い。



だけど今日は違った。




｢ふくらー、こっち終わったよー｣


『よし、じゃあ少し休憩しようか』




今日は掃除に来ているのだ。
自分達で使っている撮影部屋やオフィス等を中心として荷物整理をしたり床をはいたり。




俺たちのオフィスだから、やるのが当たり前。




だけど俺は、掃除が嫌いだ。

昔から、狭いところが怖かった。特に理由はないけど、怖くてからだが震えて、息ができなくなる。

掃除していれば、狭い部屋もすることになるし、ドアを閉めたりもする。
それでいつも、パニックにならないかとひやひやしていた。




｢そろそろ片付きそうだね。 あとは会議室かな｣

すると、ちょうど河村のスマホが震える。



｢あ、ごめんちょっと電話…先にやっててもらっていい？｣



伊沢からの電話らしい。わかったと言って、先に会議室に向かう。



割りと広いようにみえる会議室も、ドアを閉めてしまえば以外に狭く、不安が頭をよぎる。
その不安をかき消すように勢いよくドアを開け、そのままの状態にしておく。


開けておいた、つもりだった。


バタン、と音がしたのでそちらを振り向けば、ドアがしまっている。
ひゅっと息を吸い込み、呼吸が苦しくなったのがわかった。



大丈夫、ドアを開ければ、大丈夫…



焦らないように、できるだけ急いでドアノブに手をかけて回す。が、開かない。

『ッ…！？』



おそらく外に置いておいたほうきか何かが倒れたのだろう。だけどそんなこと考える余裕なんてなくて。



閉じ込められた。
そう自覚した途端、呼吸が苦しくなる。


『っ…ひゅっ……はっ…』


息ができない。
苦しい。辛い。怖い。


じわり、と涙が浮かぶ。




誰か、誰かっ…

『たすけてっ…』



目から涙が溢れた、その瞬間。





｢福良っ！｣

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