君だけだった。 霜月隼 ページ25
※隼さんが失恋します。苦手な方はブラウザバックお願いします。
隼side
「…君は始とのがお似合いだよ。」
数日前にAを突き放す為に言った言葉。
それは紛れもない、僕の言葉だ。
「僕では…駄目なんだ。Aを…守れない」
Aが僕に好意を寄せてくれてると知ったときはとても嬉しかった。
でもその反面、辛かった。
「まさか…始がAに片思いしたなんてね」
始は今、デビューしているアイドルの中でもトップクラスの一人だ。
それに、僕から見たら大分繊細で壊れやすい。
ただ隠すのが上手いだけ。
そんな始のことだから少なからずは影響が出てしまう。
「始の一人のファンとして辛そうな顔はさせたくないな。」
−喜ぶ顔が見たい。
「それはAに対しても…か…」
僕はいくらでも誤魔化せる。隠せる。…騙せる。
僕は…大丈夫。
「僕は魔王様だからね。」
いつものように笑おうと思っても笑えない。
笑顔を作れない
…ただ、俯いて、嗚咽を抑え、涙を落とすだけ
今まで自分から異性を好きになったことはあっただろうか?
あったとしても、なかったとしても、Aに対する気持ちは愛しいものだった。
最初から「彼女と一緒にいたら、後に自分の首を絞めることになる」ってことはわかっていた。
わかりきっていたのに…
「ココロって難しいなぁ…」
ぽたぽたと目から落ちていく涙は、何もない空間に落ち、波紋を広げる。
「…あとで海に甘やかしてもらおう。」
そう自分に言い聞かせ、止まらない涙をそのままにして前を向く。
あとで夜辺りに心配されるだろう。
それもまたじんわりと空虚を満たしてくれる。
−脳裏に浮かぶはAの笑顔。
きっと始ならこれ以上の笑顔を彼女に贈ってあげるだろう。
「ありがとう。僕を好きになってくれて…」
言いながら手を窓越しの空に透かせ、ぐっと握る。
「始、彼女を…Aをよろしくね。」
そのまま握った手を胸に当てる。
「二人の未来に幸あらんことを…」
きっとAはもう始を意識している。だから大丈夫。
僕は二人の未来を一番に思ってるから…
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美紀 - ツキウタの水無月涙君大好きです最高です (2019年2月8日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Loki | 作成日時:2018年8月22日 2時