ツキウタ。&ツキプロ短編 (ページ22)

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好きなもの　皐月葵ページ22

葵side

『葵ってさ、好きなものなに？ジャンルは問わない』

とAから電話がかかって来た。

葵「急に言われてもな…」

そう言いながら足の間にいる黒田をブラッシングしながら考えてみる。

一番最初に思い浮かんだのはAのこと。

…食べ物とかだったら簡単だったのにな…

葵「なんでもいいの？」

『うん。人とか動物とか…生き物でもなんでもいいよ。』

…難しいな。グラビやプロセラとかでもいいのだろう…だがここはアニマルズとかの方が…
いや、ジャンルが関係ないなら一番好きなのはAだ。だけど…さすがに恥ずかしくないか？…でも本当のことだから言ってみたい気もする…

『葵ー…』

葵「ん？ああ、ごめん」

『大丈夫？』

葵「大丈夫だよ？」

『…ごめん。難しかった？』

葵「あはは…多すぎて何を言えばいいのかわかんなくなっちゃった…」

嘘。言える勇気がないだけ。
悩んだけれどそれは、逃げるための選択肢を造っただけだ。勿論グラビもプロセラも…その他も大好きだけれど「A」と素直に言えないから言い方が悪いが、利用したと言うことになる。

『頭に浮かんだらものでいいんじゃない？』

葵「浮かびすぎてて…」

『そっか…じゃあ、質問変えます。今一番欲しいもの』

葵「そっちのが難しいよ…」

『んー？決めてもらいたいな…』

葵「なんで？」

『もうすぐ葵の誕生日だからさ、私があげられるものならあげたいなーと思いまして…』

俺の誕生日…まだ一ヶ月はあるのに…

『やってほしいことでもいいから決めておいてもらえたら嬉しいのだが…誕生日の1…いや、2週間前までに私に教えて。』

葵「…わかった」

『じゃあ、またね。』

そう言って電話を切られてしまった。

俺が本当に欲しいもの…
わかりきっているのに言えない。

葵「期間くれたんだから勇気出さなきゃだね…」

気合いをいれるために頬をパシンｯと軽く叩いてみる。音だけであまり痛いものではなかった。
その音がすごかったのだろうか。足の間にいた黒田が驚いたらしく勢い良く共有ルームを飛び出していってしまった。
…すぐ戻ってきたが

葵「絶対言うから…」

ちゃんと気持ちを伝えるまであと少し…