もらってあげる 弥生春 ページ20
三月。春。
これと言って春っぽいことなにもしてない。
暖かくなるはずだけど…
『ねえ春さん。』
春「ん?」
『今日三月じゃないですか。』
春「そうだね?」
『春ですよね?』
春「うん。」
『…なんか寒くないですか?』
春「そんなことより雛祭りだね。今日。」
『え?あ、はい。そうですね…』
軽く流されました。
春「Aの家って雛人形飾ってる?」
『ん〜…小さい頃はあったような…あれ?なかったっけ』
実際どうだったか全く覚えてない。
折り紙で作ったやつだったら…いや、無いな。小さい頃に作ったやつだから…あったとしてもボロボロだろう。
『急にどうしたんですか?雛人形って』
春「雛人形しまい忘れるとお嫁に行けないってこと思い出してね。」
『…飾ってない場合は…どうなるんでしょうか』
春「どうなんだろう…。嫁ぐ人も見つからない…とか?」
『不吉なこと言わないでくださいよ!…そんなことになったら親不孝者となり周りの人を泣かせる結果に…ああああ…』
春「…そんな結果はなったら俺がもらってあげるよ」
はて、このお方は何を言ってるのでしょうか…
嫁に行かなかったらもらっていただけるのか…
私の耳がおかしくなったのでしょうか…
私の良いように聞こえてるのでは…?
私の願望叶ったり?
春「たぶん全部口に出てるよ。」
『ぎゃっ!』
春「もらっていいなら今すぐにでももらうけど…」
『だめです。』
春「どうして?」
貴方が美しすぎるからですよ…
春「ふぅ…」
なぜため息つきながら眼鏡を外したんですか。
そしてなぜ寄ってくるんですか。
春「A…」
『ストップ。それ以上こっちに来たら私の発作で 死 ん じゃう』
春「それは困るな。」
そう言って眼鏡をつけ直す。いつもの笑顔だでも距離は近いまま
『何者なんですか春さんって…』
春「アイドルだね。」
『近い…無理…心臓壊れる…』
春「それも困るな。…もっと寄れば馴れるかな?」
『ムリムリムリムリムリムリ…』
春「そんなに拒絶されると傷付くなぁ」
『ごめんなさい。でも無理です…からかうのやめてください。からかってなくてもやめてください』
春「からかってるんじゃなくて口説いてるんだけどね…」
息をするようにあまい言葉を吐いてくるこの人
ヘタレの域を越えている。
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美紀 - ツキウタの水無月涙君大好きです最高です (2019年2月8日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Loki | 作成日時:2018年8月22日 2時