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振り向いた俺の視線の先にいたのはかわいらしい羽のついた生き物。
天使とかそんな感じのやつだ。
背はやや低め。
「……何見とれてるんですか。私がかわいいのは知ってますけどキモいです」
前言撤回だ、かわいくない。
「なぁ、ここはどこなんだよ!?」
晴人はそんな正体不明なやつにワーワーとわめき散らす。
相変わらずうるさい。
「ここはあの世と現世の狭間です」
淡々と天使は答えると、どこからか、一冊のノートのようなものを取り出した。
「あなたたちはですね、本当は長谷川祐樹?……平凡な名前ですね」
放っといて欲しい。
いちいち一言多い天使だ。
「まぁ、長谷川君だけが死ぬ予定だったんですけど野村が助けに行ったんで二人とも死んじゃったんですね」
なんで晴人だけ呼び捨てなんだ。
さっきこの天使に鬼の形相で突っかかって行ったからだろうか。
「だからお二人さんにはどちらか一人にだけ死んでほしいんですよ」
可愛い顔をしてその天使はサラリと恐ろしいことを言った。
後ろのほうから刀を取り出して目の前に置く。
「あなたたちに与えられた期間は一週間。現世の一日の時間を引き延ばして作った一週間ですから
あなたたちにこの世界での明日は来ません。時間的にいうと一週間っていうそれだけです」
「は?どういうこと?」
「……まったく、頭のまわらないバカはこれだから嫌です。要はここの一週間は現世の一日ってことですよ」
天使は、晴人をにらみつつハァ、とため息をついた。
「本来ならば長谷川君が死ぬべきなんですけど、選ぶのめんどくさいんで。過去の資料とか見なきゃだし」
どうやら天使の業務にはいろいろあるらしい。
子供のころに想像していた楽園のような生活とは相当無縁なようだ。
「あ、名前を言ってませんでしたね。私はアルト。必要があれば大声で呼んでください。多分来ませんけど」
来ないのかよ、と心で突っ込んだところで天使は大きく羽を広げて飛び立っていった。
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akka(プロフ) - 楓希さん» ありがとうございます! (2014年3月15日 23時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
楓希(プロフ) - 超感動した!! これ、超おもしろい!! (2014年3月15日 21時) (レス) id: 8cdd2af978 (このIDを非表示/違反報告)
akka(プロフ) - このみさん» ありがとーwいや、分けたらなくなるw頑張る♪ (2014年1月27日 20時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
このみ(プロフ) - お久しぶりー(^^)/めっちゃ面白かった!なにこの文才は!?ちょっと分けてww更新がんばれ♪ (2014年1月27日 18時) (レス) id: ac51844268 (このIDを非表示/違反報告)
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