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うつろな目はただただ俺をにらみつけてくる。
俺はそれをへらへらと笑って返した。
身体能力だけは自信がある。
それでも傷つけずに倒すというのはなかなか難しいものだ。
「おっとっ」
頬を剣がかすめかけ、俺は脇にゴロッと転がった。
「いって―、あぶね―なっ、もう!」
すでに俺はスリ傷だらけだ。
それに引き替え祐樹……いや、相手は傷一つない。
もとは祐樹の体だから傷つけるわけにはいかない。
「厄介だなぁー、本当に」
相手は俺の体制が崩れた瞬間を付け込んで剣を振り下ろしてきた。
まだ剣を持っていない俺は素手でそれを受け止める。
「……っ」
手のひらからは真紅の血が流れてくる。
それはポタポタトと、地面に落ちた。
「いい加減目を覚ませよ、祐樹……っ!!」
俺がその名を言ったとたん。
意識は帰ってきた。
目の前には手のひらから血を流す晴人。
体が重い。それでも俺は必死に剣を晴人の手から遠ざけた。
「お、帰ってきたね」
ダラダラと血を流しながら晴人は余裕の笑みを見せる。
「……迷惑かけたな……」
「全然制御出来てないじゃん、まだまだこっからだね」
晴人の言うとおりだ。
体はさっきよりましになったもののまだ晴人を襲おうとしている。
俺はそれの向きを変えることしかできない。
勝てるだろうか。
何に?
自分を操ろうとするものに。
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akka(プロフ) - 楓希さん» ありがとうございます! (2014年3月15日 23時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
楓希(プロフ) - 超感動した!! これ、超おもしろい!! (2014年3月15日 21時) (レス) id: 8cdd2af978 (このIDを非表示/違反報告)
akka(プロフ) - このみさん» ありがとーwいや、分けたらなくなるw頑張る♪ (2014年1月27日 20時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
このみ(プロフ) - お久しぶりー(^^)/めっちゃ面白かった!なにこの文才は!?ちょっと分けてww更新がんばれ♪ (2014年1月27日 18時) (レス) id: ac51844268 (このIDを非表示/違反報告)
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