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俺が笑いをやっとこらえた瞬間だった。
フッと目の前が真っ暗になり、晴人の姿さえ見えなくなる。
「……はぁっ?」
その声もどこかに吸い込まれていくように消えた。
『ねぇ、本当はあの親友なんてどうでもいいんでしょう?』
どこからともなく声が聞こえる。
小さな、でもこの暗闇全体から聞こえるような、響く声。
「そんなわけ……っ!!」
『本当は家族のところに帰りたいんでしょう?』
疑問形でありながら確信をついてくる言葉。
俺は唇をかんで何も言えなくなる。
『ほら、今頃現世ではあなたの親御さんたちがあなたのことを心配してるわ』
ふと浮かんだ親の顔は今本当に見えてるものか、それとも記憶かわからない。
『ほら、あの男を殺してしまえば家族のもとに帰れるのよ?」
その声の主は晴人をあの親友からあの男という表現にいつの間にか変えていた。
「でも……晴人を裏切るなんて……っ」
『別に遠慮しなくたっていいじゃない、二人とも死ぬより、あなたがあいつの分まで生きたほうが
あいつも喜ぶんじゃないかしら?』
段々とその声は俺の耳元へと寄ってきて、心を揺らがす。
『ほら、剣を取りなさい。あなたには生きる価値があるわ……』
気付くとそこはすでに明るい世界で、俺は剣を手にしていた。
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akka(プロフ) - 楓希さん» ありがとうございます! (2014年3月15日 23時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
楓希(プロフ) - 超感動した!! これ、超おもしろい!! (2014年3月15日 21時) (レス) id: 8cdd2af978 (このIDを非表示/違反報告)
akka(プロフ) - このみさん» ありがとーwいや、分けたらなくなるw頑張る♪ (2014年1月27日 20時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
このみ(プロフ) - お久しぶりー(^^)/めっちゃ面白かった!なにこの文才は!?ちょっと分けてww更新がんばれ♪ (2014年1月27日 18時) (レス) id: ac51844268 (このIDを非表示/違反報告)
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