５話目 ページ6
夜になって、やっぱり今日も雨が降った。
人の目を避けて屋敷から抜け出す。
屋敷の前には門番がいたが、目立たない格好で裏口から出たおかげか、誰もAの存在に気付
かなかった。
雨の中を蛇の目傘をさして走る。
走らなくても涼太が館で私を待ってるというわけでもないのに、なぜか急ぎたくなった。
バタンッと館の扉を開ける。
「涼太！」
「Aじゃないかい。どうしたの？」
「遊びに来たのよ」
「うれしいな、またAが来てくれるなんて」
ニコッと涼太が微笑む。
水色の目を細くしてやわらかく笑う姿はAを夢中にさせた。
「さぁ、今日は何して遊ぼうか？」
そっと涼太がAの方に触れる。
「何でもいいよ。涼太の好きなことをしよう」
「そう……僕の好きなこと……か」
涼太は妖しく笑うと、Aを立ち入り禁止の部屋へ連れていった。
「涼太、ここは入っちゃダメなんじゃないの？」
「君にだけ特別。君には『能力』があるから」
「能力？」
涼太はもう一度笑うとカチャリと部屋の扉を開ける。
そこにはベットリと血が染みついた壁と床、そしてたくさんの骨。
「涼……太？なに……これ」
「僕の『好きなこと』さ。怖い？」
困ったような、そんな顔で涼太はAの顔を覗き込む。
Aはフルフルと首を振った。
すると涼太はどこからか出してきた刀を手に取り、部屋の隅にいた人に向かって振りかざす。
血しぶきがあがり、人が人の状態じゃなくなる。
「今の僕が怖いと思うなら、今すぐ逃げればいい。大丈夫なら……こんなことをしてるわけを
そのうち話してあげよう。どうする？」
涼太の問いかけに、Aは小さくうなずいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひか(プロフ) - わああああああ…すっごいゾクゾクした！でもすっごい面白かったです！ (2014年3月7日 17時) (
レス) id: b8125e9bd0 (このIDを非表示/違反報告)
akka(プロフ) - 美久さん» 楽しんでもらえてよかったです！ (2014年3月2日 22時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
美久 - ホラー話は大好き！楽しい (2014年3月2日 12時) (携帯から) (レス) id: 306c95e2d9 (このIDを非表示/違反報告)
akka(プロフ) - 雷羅さん» じゃあ、頑張ってみます！ｗ (2014年1月27日 20時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
雷羅(プロフ) - お疲れ様でした！ぜひ、またakkaさんのホラーが読みたいです！ (2014年1月27日 18時) (レス) id: 7abb299694 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
