22話目 ページ22
今日も涼太が生贄を連れて帰ってくる。
Aはそれを反抗的な目で迎えた。
「今日の生贄だ」
ドサッと目の前に無造作に二人の人間を差し出す。
Aは暗い部屋でチラッとそちらに目を向ける。
そこにいたのは両親だった。
「お父さん……お母さん……!?」
「A……!?」
母親は気を失っているらしく、目をつぶったままだった。
「……さっさと殺せよ」
「待って!!」
Aはとっさに立ち上がって、涼太を引き留める。
「なんだ」
「もうやめてよこんなこと!!殺したって何にもならないんでしう!?」
はぁ、と涼太はため息をつく。
「いつからそんなに僕に楯をつくようになったんだ。黙りなさい」
「黙らなきゃいけないのはそっちじゃないの!?こっちは魔法が使えるんだから!!」
その瞬間ニヤ、と涼太の口の端が上がる。
「じゃあ、お前をその力ごともらおうか」
何言ってるの、とAが問いかけようとした瞬間、意識がどこかに吸い込まれていくような、
そんな感覚がした。
重い頭を傾けて、見えた先には、涼太が手に持つ水晶。
「お前にはこの中に入ってもらう。僕の思うがままだ」
「そんなの……!!」
「させないってか?無理だな。あきらめろ」
Aは必死に意識を保とうとするものの、段々と、視界が狭まってくる。
「これからはずっと一緒だよ」
今までずっと大好きだった笑顔。
今では憎しみしか感じないその笑顔を視界に入れたのを最後に、Aは意識を失った。
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ひか(プロフ) - わああああああ…すっごいゾクゾクした!でもすっごい面白かったです! (2014年3月7日 17時) (レス) id: b8125e9bd0 (このIDを非表示/違反報告)
akka(プロフ) - 美久さん» 楽しんでもらえてよかったです! (2014年3月2日 22時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
美久 - ホラー話は大好き!楽しい (2014年3月2日 12時) (携帯から) (レス) id: 306c95e2d9 (このIDを非表示/違反報告)
akka(プロフ) - 雷羅さん» じゃあ、頑張ってみます!w (2014年1月27日 20時) (レス) id: 5dd99b923e (このIDを非表示/違反報告)
雷羅(プロフ) - お疲れ様でした!ぜひ、またakkaさんのホラーが読みたいです! (2014年1月27日 18時) (レス) id: 7abb299694 (このIDを非表示/違反報告)
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