二首目 再会 ページ4
クラスはB組だった。
取り敢えず座席表通りに窓側から三列目の後ろから二番目の席に腰かける。
前後左右近くの席の人はまだ来てないみたいだし、ホームルームが始まるまでまた何か聴いていようとイヤホンのケースを開こうとした。
が、一人の生徒が視界の端に入ってきたからやめた。
四番目、四番目と言いながら席を探すそいつは黒髪で前髪を上げていてゴールドのピアスが目立つイケメン。
なんやよく顔のいいやつに会うな。
そう思う廉の右斜め前の席に座ろうとした彼は廉の存在を視認すると、五秒ほど見つめ何か思い出したかのように鞄だけを置いて黒板の座席表に走った。
意味不明な行動に唖然としていると、そいつは廉に声をかけてきた。
「ねえ、永瀬廉だよね？」
「そうやけど」
「覚えてる？俺、紫耀！平野紫耀！」
その名前を聞いて、ハッとして昔の記憶が駆け巡る。
彼は間違いなく、
「秋野会の紫耀！」
「廉だ！」
「うわ、久しぶりやん」
小学生のころ通っていたかるた会で仲の良かった紫耀。五年の月日は彼をかなり大人にしていた。
そっか同じ高校だったんや。
それから連絡先を交換し、たわいもない話に花が開き、はしゃぐ俺たちは同中かと間違われる始末。
二人は数日間で一気に距離を縮めた。
・
・
授業も本格化の匂いが漂い始めた入学から一週間後。
二人を含む一年生は部活動説明会に絶賛出席中。
つまらない、
興味が湧かない、
そもそも今ある部活に入るつもりはない
の三拍子の廉はやっと全部活終わったと背伸びをしている。
「ん〜ん」
「廉、部活どうする？」
「興味あるのがなかった。入らへん。紫耀は？」
「ダンス行きたいけど、なんかちょっと、」
「せやな」
そもそもかるた部がないし、あっても一人でなら入るの躊躇する。
やっぱりかるたは会でやるか。
そうしようとした廉の頭がクイズのボタンのように冴えた。
一人やったらやらへんけど、経験者がもう一人。
これは、これは、もう作れって言ってるようなもんやん！
「紫耀、作らへん？」
「はあ？何を？」
「かるた部、俺らで作る！」
数秒の沈黙のあと、生徒の少なくなった渡り廊下に予想外と言いたげな大声がこだまする。
「はぁ！？」
驚きのあまり目をひんむく紫耀、そして決めたようにキラキラした目を友人に向ける廉、そして二人のやり取りにざわつく生徒という不思議な構図が出来上がったのだ。
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四季(プロフ) - マジックアワーさん» ありがとうございます！ (2022年11月30日 23時) (
レス) id: 10b371ccd5 (このIDを非表示/違反報告)
マジックアワー - 百人一首いいですよね。話の続き楽しみにしてます。 (2022年10月23日 10時) (レス) @page9 id: 461445c92c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四季 | 作成日時：2022年10月18日 2時
