二十八首目 目指すことろは… ページ30
一時間ほど試合ではなく素振りや構えの見直し、紫耀の配置の見直しなどを行い、その後は初ミーティング。
「改めて今日から競技かるた部が正式に部として認められました！」
「よっ！」
「いや、大変だった！」
たった四人の暖かい歓喜が舞い起こった。
「よっし！じゃあ、それぞれの等面の目標を発表しまーす！まず紫耀！」
「はぁ？」
テンションのリミッターを何処かに置いてきたらしい岸くんが声高らかに言い出した。
「俺はまず、大きな目標は皆と対等に戦えるレベルに引き上げること。
そのために夏までに段位を取る。はい、次神宮寺。」
「え〜、俺は大会よりも自分の耳と取りを結びつけ強化すること。手探りだから時間がかかるけどね。
はい、廉。」
「俺は今年中にA級になる。で、岸っさんは？」
「俺は、兎に角昇給したい。
それと部の大きな目標にしたいことがあるんだ。」
「近江神宮に行きたい。」
たっぷりと溜めたあと岸の口からは端から聞けば脈絡のない言葉が飛び出した。
紫耀はおそらく意図していることを分かっていないのだろう。
そして理解した二人は一時溢れるほど目を見開いた。
高校生が言う近江神宮はつまり…
「団体戦で全国大会を目指すつもり？」
神宮寺からはそれは静かで低い声が発せられた。
かるたの高校選手権は滋賀県は近江神宮で毎年行われる。故に多くの高校生は全国大会に行くことを「近江に行く」と言う。
「本気なん、ここは東京や。
代表になることが一番難しいところやん。」
個人戦は基本的に自分の級に申し込みさえすれば誰でも出ることができる。
しかし団体戦は勝手が異なり、地区予選を経て代表のみが近江神宮の畳を踏める。
廉の言うように東京は現在50はある高校から代表はたったの２校だけ。上位校のA, B級たちと渡り合う実力が5人全員になければならない。
それに挑もうとすることが如何に無謀か。
「俺は本気だ。
自惚れじゃないが、うちには神宮寺がいる。廉だって既に東京のトップレベルと戦えるだろう。
紫耀はきっとすぐに強くなる。
そんな中にいたらできると思うんだ。」
それを聞いてふっ、と三人の顔が綻んだ。
「目指すのは自由だもんな。」
なんだ、案外皆やる気だ。
だけど三人とも重要なことに気づいているだろうか。
「団体戦をやるならもう一人探さなきゃ…だよね。」
そう呟いた瞬間、部員探しの過酷さを知る二人は凄い速さで顔を手で覆った。
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四季(プロフ) - マジックアワーさん» ありがとうございます！ (2022年11月30日 23時) (
レス) id: 10b371ccd5 (このIDを非表示/違反報告)
マジックアワー - 百人一首いいですよね。話の続き楽しみにしてます。 (2022年10月23日 10時) (レス) @page9 id: 461445c92c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四季 | 作成日時：2022年10月18日 2時
